１年が終って、新しい年がはじまる、という感覚よりは、まだまだ続くぞ、という感覚かな。生まれたのが２月の立春近くであるせいか、旧暦のほうが年があらたまるという気持ちになります。正月はどうも世間にあわせている、という感覚が強くて、昔から、それに適応するのに結構、苦労しました。だいたい１２月のうちに年賀状を用意するということができない。どうも自分のなかの「書くこと」のセンスとあわない。父親が零細印刷業であったせいか、毎年、大量の年賀状を印刷するのを、子どものときから見てきて、あるいは活字を買いに行かされたりして、なにか小さなトラウマがありますね。些細なことだけど、印刷した賀状を暮のうちに大量に投函して、これで社会的なつとめを果たしたみたいな「シキタリ」に反発があるというか。さらっとやれればいいのに、そういいうことは意外と不器用です。
　と、すみません、つまらぬことを書いていますけど、
それでもあえてこの１年を個人的に振り返ると、つくづく「激しい年」であったなあ、と。しかも、その「激しさ」がなにか裏の「激しさ」、表面には出てこないものであった。「表」としては、今年は、本も出版できず、いくつもの仕事はこなしているものの、まあ、静かに多忙な日々が流れただけのように見えて、その「裏」には、なにか、わたし自身にもよくわからない「激しさ」が突き抜けていった、と。「静かに！」でななく、「静かだ、しかしなんという激しい静けさであることか」みたいな。ここからなにを自分がつかむのか、それが問われているように思えます。
　「年」の終りにあたって、「希望」を、ーー抽象でもなく具体でもなく、イメージでもなく言葉でもなく、ーーーーどのように語るかをみずから問わなければならないのはたしかでしょうか。
　乱雲、襞をうって層をなす。このグレーの寒空を、Epervier ハイタカが一羽、横切っていく。そのように。そのように。