破急風光帖

 

★   日日行行 (125)

2017.12.22

* 冬至ですね。凍空に三日月の弧がかかって、その孤の輝きが美しい。もうすぐ日付がかわりますが、いま、自分が出演したNHKのTV番組を見ていました。

 Eテレの「人間ってナンだ?超AI入門」#働く。シリーズの最終回に「哲学者」として呼ばれて、東大の松尾豊さんらとAIと人間の関係について議論した番組。10月に収録したものでした。自分の姿を見るのは好きではありませんが、どう編集されているのか興味があって見てみました。相変わらずのワタシでありましたが・・・でも、なかのトピックは軽いノリと見えてかなり深いテーマにも触れていますので、よろしければ再放送をどうぞごらんください。〔再放送 12月25日(月) 午前0:45~1:30(12/24(日) 深夜)〕http://www.nhk.or.jp/aibeginner/  です。
 ともかく、この時代、人間の知はこの問題を考えなければならないことは絶対的に確かです。人文知の使命はそこにしかない。わたしは「知において、道化を」やってるだけですけどね。
 そして明日は、もう10年以上も時々コメンテーターとして出ている「クール・ジャパン」のo収録があります。テーマは「戦国武将」だそうで、まったくわたしの守備範囲を超えているのでどうなることかしら。それで年内の外の仕事は終りで、あとは書きあぐねている論文ともうひとつ文学的なテクストを書くというもっとも困難な仕事が残ります。どうもクリスマス/正月の気分にはなれません。
 
 前便で渡辺公三さんの訃報について書きましたが、このUTCPのブログの2010年2月17日の大橋完太郎さんによる[報告]ブログに、公三さんを招いてレヴィ=ストロースについて講演してもらったときの記録が残っていました。かれの写真もアップされています。ブログはまたアーカイブにもなるわけで、わたしの記憶の欠落を補ってくれます。発表者のかれの隣りに司会のわたしが座っている写真もあって、ほぼ10年前なのですが、いまでもそういう時間がどこかに残っているような気がしますね。ああ、こういう時間がもててよかったなあ、研究者としてのかれの魂の声に耳を傾けた時間があったなあ、と。こういう声を聞き合うということこそが、われわれの人文科学という場のもっとも重要なファクターだよなあ、とどこかしみじみと。

 今日、この夜がひとつの極点で、ここから一年という時間がまた光の方へと折り返していく、その岬のようなターンをいま、23時37分、ゆっくりとまわろうとしています。心よ、心、おまえもまた、そのように・・・
 


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