破急風光帖

 

★   日日行行 (123)

2017.12.09

* 12月に入ってはや10日近く。師走らしく疾走しているというか。あるいは、オフ・バランスで不器用にダンスしているというか。でも、今年は本を書けなかったなあ、と少し自分の不甲斐なさを責める気持ちもありますね。

 先週末に「未来」の連載原稿を書きました。第二幕第三場なのですが、第一幕第三場に続いて、またもや吉田喜重さんになりました。『メヒコ 歓ばしき隠喩』をとりあげたのですが、1日に日仏会館にドミニック・レステルさんの講演を聴きに行ったときに、その本を仏訳したマチュー・カペルさんに偶然お会いしたのも不思議な徴ではありました。そして仕事の関係で今週悩まされたのが二年前に岡山の就実大学で行ったわたし自身の講演を活字化したものの校正。これが、ひどい。というのは、自分の喋り方がそのまま起こされていて、目もあてられない。落ち込みました。そして直すのに膨大な時間がかかり、最後は、昨日ですが、4箇所も書き直したりしました。
 2日土曜は駒場でIHSの安藤先生の演劇実習の授業。ここでは1月のショーイングに向けてわたしには「高僧』役が振られて、なんと駒場で心経を読誦するはめに。
 そのまま続ければ、4日は、かつての表象の教え子の映像作家ケイコ・クルディさんがお母様と来日されていて、お母様の80歳の誕生祝いを音楽家の小野誠彦さんのお宅で。日仏英の三か国語が飛び交う、でも親密な会でした。
 5日は、水声社の編集者とともに、新幹線で軽井沢の写真家高木由利子さんのすてきなお宅を訪ねて、今度つくる雑誌のための写真の選択と短い対談。(高木さんが、その黒のスタジオで踊るわたしの写真を撮ってくれました。「家宝」ですね!)
 6日は青学の授業で、国立新美術館で開催中の安藤忠雄展をめぐってのディスカッション。7日は駒場の授業で今度は学生の宮崎駿についての発表をめぐって。そしてその後は、来年2月のロンドン/パリ研修の説明会。
 昨日8日は、校正を終えたあとに、まず新宿のICCでの坂本龍一/高谷史郎さんの音響インスタレーション「Is your time」のオープニングへ。何年も前に一度、駒場にお迎えしたときにお会いしただけですが、坂本さんがわたしを覚えていてくださって、嬉しかったですね。挨拶を交わしました。でも、そのまま今度は三鷹へ。SCOOLで山田せつ子さんのダンスソロ「青空 その窪み」を観に行きました。これも、beautiful. 胸がせつなくなるダンスでした。
 そして今日はドミニック・レステルさんとひさしぶりにじっくり話しをしよう、ということになっています(もちろん、お酒も入れてですが)。
 このあいだに来年2月のソフィア行きの手配などもしているので、かなりのキリキリですが、なんとか身体がついていってくれているのでありがたい。50代の頃は、この時期が一年の最悪の季節でいつも喘息が出て苦しんでいたのですが、定年して、組織に対する責任というものがいっさいなくなったのが大きいのか、ここ2、3年は喘息も出ず、ステップはなんとか踏めています。 
 年内あと2本くらい原稿、しかもなかに重い論文原稿もあるのですが、顔をあげて前を向いて進んで行きたいもの。近況報告でした。 


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