破急風光帖

 

★   日日行行 (122)

2017.11.30

* これも順序が逆になりますが、26日に久しぶりに芝居を観に行きました。ガルシア・ロルカ作「ベルナルダ・アルバの家」。仲代劇堂です。

 無名塾の稽古場での公演ですが、この春に、はじめてこの舞台でチェーホフの「かもめ」を観て感動しました。それに続く二度目。江間直子さんの演出。ロルカ最後の作品です。これも素晴らしかった。なによりも役者がうまい。さすが無名塾の厳しい稽古を長年積んできているだけのことはある。しかも稽古場が舞台なので、舞台が目の前。観客もほとんど舞台の上にいるような感覚です。そこにアンダルシアの教会の鐘の音が鳴り響き、あっというまに、われわれは死者と生者のあいだに閉じ込められて生きる女たちの日常に隠された「激しさ」の噴出に立ち会うことになるわけです。劇的なるものの噴出。ここでも「かもめ」と同様に、最後に舞台裏で一発の銃声が響き渡る。教会の鐘と銃声のあいだに宙吊りにされた「一見静かな日常」の舞台ではありました。(12月3日までです。)
 こうして11月が終ります。わたし自身にとっては、ある意味では、陶酔的なまでの(日本語では言えない)douceur、しかしその裏では異様な「激しさ」furor の嵐、まさに劇的なNovember Stepsでした。「静かに!」ーーあのベルナルダのことばをわたしも繰り返しましょうか。静かに!でも、さあ、そのように静かな12月がやってくるのでしょうか?ただ走り抜けるだけなのでしょうか?(今日は、駒場で、あの暴力的なまでに激しかった9月のインド研修旅行の「打ち上げ」があります)。


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