破急風光帖

 

★  日日行行 (117)

2017.11.07

* 11月のこの透明な光。好きですねえ。この光の向うにあるカオスについて語るということになるのか、11月24日の夕方、駒場でブルガリアからボヤン・マンチェフを招いてUTCP講演会を行います。アナクシマンドロス以来のアペイロンについて、あるいは「雲」について、語りあうことになっています。(UTCPの本サイトにポスターと情報をアップいたします。5時から。101号館研修室です。駒場祭ですが、その雰囲気のなかで楽しく対話を行いたいと思います)。

 かれからもメールが来ていて、最近、ソフィアで行われたシンポジウムで、ボヤンが「歴史の終りのあと」という題で語ったときに、わたしのことにも言及したよ、と。ほんとうに、自分の思考が、言葉もちがい、文化もちがう人たちになにか伝わっているということに感動しますね。もちろん、わたしの思考など野に咲くちいさなスミレみたいなものですが、世界には、なにやらゆかし、と思ってくれる人もいるということかな。そういうかれと、東京で、おたがいの思考を交換し触れ合わせる、そんな素晴らしいことはほかにはありません。エライ人の一方向的な講演会にどうぞ、というより、ほんとうの知的な「友情」の交感の場にぜひ立ち会ってください、とお願いしたいですね。そこに、自分で一冊本を書くというのとはちがった「知の楽しみ」がある。「知の使命」がある、いまでもそう思っています。(昨日は、UTCPでトマス・カスリスさんの講演会でした。日曜の夜にもかれとは会食をしていますが、トムも、わたしにとっては、長年にわたる知的友情のパートナーです。この講演会については別稿をしたためます)。

 今週は、科研の調査で南仏へ。Biotという、もうわたしの村であるような村に滞在し、インタビュー調査などを桑田光平さんと行います。アヴィニョンにも行く予定です。11月の南仏の光もなかなか深い。その深さのなかで、わたしは「夜」に出会う、ということになるかどうか。詩と出会えるか、詩が生まれるか、奇妙な期待に包まれて。「野ざらし紀行」かもしれませんけどね。
 


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