破急風光帖

 

★ 日日行行 (66)

2016.12.09

* 『未来』誌に連載している「オペラ戦後文化論Ⅱ」、第1幕第3場の原稿を今朝、脱稿したところ。今回は、吉田喜重さんの『エロス+虐殺』(1970年)をとりあげました。

 この第Ⅱオペラに入ってから、対象は、武満徹さん、吉増剛造さん、磯崎新さんと続いていて、どなたも、わたし自身が一度ならずお目にかかったことのある方たちばかり。70年からの時代ということになると、わずかとはいえ、接点をもつことができた人たちについて書くことになって、書きながらいろいろな思い出が過ります。とはいえ、それぞれの方の創造行為についての本格的な批評ではなく、わたしの「オペラ」の構想の枠のなかで、時代の「徴候」を汲みとろうとするだけなので、申し訳ない気持ちもありますけど(でも、ほんとうに、たくさんのすばらしい創造者の方々とお会いできたことは、わたしの人生の果実です)。

 集英社から出ている季刊誌『kotoba』の特集が「蒐集」で、わたしも、久しぶりにヴァルター・ベンヤミンの『パサージュ論』を取りあげて、短いエッセイを書かせてもらいました。いま、発売中です。そして、もう少しすると、目黒の庭園美術館で開催中のボルタンスキー展のカタログも刊行されるはず。ここにも、「クリスチャンにささやく」という題で短いエッセイを書いています。
 今年は、1月に書道家の雑誌『墨』に、なんと!論語について書くことからはじまりました。ほかに、まだ刊行されていないテクストもありますが、戦後文化論以外に、論語ー能(「姨捨」)ーボルタンスキーーベンヤミン(それに「草」を加えてもいいかもしれません)と相変わらずですが、異なったジャンルにかかわる仕事をしてきました。その分、本来、書くべきフィロソフィアの本の仕事があまり進みませんでした。『オペラ戦後文化論Ⅰ』と『表象文化論講義 絵画の冒険』と2冊を上梓はできましたが、それで安堵の息をついて、後半、いくらかゆるんだか。この冬のあいだに、自分の精神の態勢を少しリセットしなければなりません。
 だが、その前に、心にも少し歓びを注入しなければ・・・今夜は、工藤丈輝さんの舞踏を観に行こうかな。明日はピアノのコンサート。そして日曜は、京都まで下って、恩師・渡邊守章先生演出のクローデル『繻子の靴』を観ます。その後が、今年最後の「旋風」の1週間になるでしょう。今年も暮れていく・・・歳のせいか、妙な感慨が立ち昇りますね。


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