破急風光帖

 

★ 日日行行 (53)

2016.08.15

 ようやく1週間、予定表にマークが入っていないほんとうの「夏休み」です。すでに空模様は、秋への傾きをはじめているようだけど、数日間ほど、近くの自然のなかにでも退避しようかな。

 一昨日はいつものようにNHKの「クール・ジャパン」の収録(テーマはなんと「主婦」でした!)、そして昨日が、HOUSE VISIONで、建築家の川添善行さん、デザイナーの原研哉さんらとのトーク。この間に、この秋、庭園美術館で行われるボルタンスキー展のカタログのための原稿を書いたり、さらに(これは仕事ではないが)、遠山正道さんらと招かれた本格的な茶会、ステンドグラスのアーティスト平山健雄さんのお宅での食事の会など、楽しい会もたくさんあって、ゆっくり夏の短夜の深さに沈潜している時間がなかった。
 昨日のトークも、資本主義の臨界点がもうすぐにも、カタストロフィーなしにではなく、内破するかもしれないこの歴史的な時期に、「希望」をどのように語るか、という難しい問いを、ハウス(家)という場を通して、問いかけるという難しい実践でしたが、そこで、わたしが語ったのが、
やはり水平的、開放的な「つながり」だけではない、垂直性。この存在の垂直性をいかに回復するかにかかっているという話しをしたつもりです。
 まあ、わたし自身にとっては、その垂直性が、広大さへと広がっていくトポスを「夜」と名付けていたりもするので、その「夜」へと、わたしも少しは降りていかなくてはいけないと思っています。そのための「沈潜」ですね。夜の森の静けさのなかに、自分を消滅させていくというように。
 でも、25日には、また本郷の東文研で、日本戦後文化について英語で講義をしなくてはいけません。
 この間に、なんとか、懸案の「わたし自身の哲学へ」の作業を開始したいと思っています。


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