☆ 夏のnota bene 15
2016.08.30
* おまえのもっともはげしい怒りの閃光が
夜を引き裂く。
叫べ、ひとりの女神の名を、
そのとき浮かびあがるだろう、一輪の花が。
原文はフランス語だが、書いたのはわたしで、もう十数年前だろうか。友人の黒田アキさんの版画(プラカール)のために書いたもの。「怒り」とあるのは、furorで、これが「夜」を切り裂いて、一輪の「花」となる。まるで、今夏nota beneとして書き連ねてきた断片をすでに要約しているかのごとく。「女神=シビラ」への呼びかけの必然も正しく認識されている。書いたときに、何を考えていたのかはもう覚えていないけれど、なんだ、やはりわたしの精神は、根源的には、変りがないなといまさらながら思い知る。そう、このように詩(ポエジー)は「指示」するのだ。「意味」ではなくてね。とすれば、この一月のnota beneは、あらためてそれを確認しただけということになるのかもしれない。少しも先に行けていない。夜 Nuit の「裸」Nuがまだまだ「輝く」Luireには至らない。「星」ー(あなた/布)étoileも、まだ遠い。たぶん、そう、furorが不足しているのだ。