破急風光帖

 

★ 日日行行 (50)

2016.07.29

 今日は、UTCP企画で、ヨンセ大学の白永瑞先生の御本出版記念の会でした。先週のカスリス先生の出版記念に続くものです。

 今日、コメンテーターとしてみなさんに言ったことは、このような形で、日本語で白先生の論集が出るという形こそ、わたしにとってのUTCPの願いであったということ。なかなか海外の出版社に出してもらえるのが難しいからこそ、自分たちでブックレットをつくったわけです。国際的なネットワークをつくろうというのに、自分の仕事を、相手の言葉で理解してもらわなければどうしようもない。それが、今回は、白先生への中島さんの尊敬に満ちた友情が、日本での出版を可能にしたことに、とても感動しました。
 白先生とももう10年以上のおつきあい。こうやって年月をかけて、ひとりの海外の研究者を知っていくというのは、素敵なことです。今回は特に、本の巻末に、中島さんによるロング・インタビューもあって、先生が、どのように自分の実存から出発して、これまでの研究をなさってきたのかが、とてもよくわかりました。これこそ「核心現場」そのものとあえて言わせていただいた次第です。
 先週のカスリス先生のときも、その翻訳は、高田さんの尊敬に満ちた友情が可能にしたものだと言えると思います。UTCPという場がそのような、真の意味での、人文科学の国際的な連帯の場となりえたことが、わたしはとても嬉しい。
 人文科学には、「高度な使命」というものがある。たんなるコミュニケーションではなく、今回、翻訳本という実質をともなった形で、それが相次いで実ったことに、わたしは、ほんとうに満たされた思いがしました。このような「希望」を、どうこれからつないでいくのか、そこには、日本の人文科学の、世界的レベルでの、存亡の問いがかかっているとわたしは思います。

 中島さんの粋なはからいでプレゼントが用意され、それをカスリス先生に渡すわたしでした。白先生にも、同様に、しかし異なったプレゼントが用意されていました。一応、かつてのセンター長という資格で、わたしが贈呈者となった次第。東アジア的な「儀礼」でもありました。

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