★ 日日行行 (42)
UTCP本体のブログに報告があがるのだと思いますが、今週7日(火)は、グラアム・パークスさんの講演会。最初にハワイに行ったときからのおつきあいで、アイルランドのコークでかれが国際日本研究センターを立ち上げたときは、中島さん・高田さんとともに出かけてトークをしたりしました。個人的には、奥様の節子さんにはウィーンでお世話になったこともある。長年の親友です。
で、かれは、いま書いている本のことを語るということで、地球温暖化という問題に対処するには、中国の積極的な関与が絶対に必要という前置きから出発して、現在の習近平体制における儒教復興の運動に触れながら、それをプラトンとつきあわせつつ、徳による政治の可能性を語るという展開。
正直、とてもびっくり。こういうときに、わたしは、それが友情というものだと思うからですが、あえて厳しく反応する。まったく夢物語ではないか、と辛口。プラトンや孔子といった過去の哲学者の思想を応用して現代に対処するというのは、もう意味がないのではないか、それくらいに、現在のわれわれの危機は前代未聞の事態ではないか、われわれは、まったく新しい哲学を構想する必要があるのではないか、それだけが、この危機と向かい合うことをかろうじて可能にしてくれるのではないか、と。
そういう応酬があって、それでもそのあとは、構内のレストランで楽しく会食。おたがいダンスをするということもあって、哲学をダンスすることについて盛り上がったりもしました。おいしいワインでしたね。やはり朋あり遠方より来る、これは「晩年のスタイル」にとって、貴重な喜びなのでした。
話題がかわりますが、昨日は、青山学院の学生たちを連れて、新国立美術館のルノワール展を観に行きました。担当キュレーターは、わたしが駒場で指導教員だった横山さん、彼女の素晴らしい解説プレゼンをきいて、学生とともに多くを学びました。ルノワールという画家をちょっと見直したかなあ。(わたしの絵画論では一回も登場しないのですけどね)。
そして今週末は、朝日カルチャーセンターで一回の講義、さらにNHKの収録が入っています。
なんだか「激しい秋の気配」です。