★ 日日行行 (33)
4月は海外からのお客さまと会う機会が多いです。17日の日曜日は、IHSのイベントでクリス・サルターさん(コンコルディア大学)、渡邊淳司さん(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)と駒場の池上高志さんら3名による英語のシンポジウムに聴衆として参加。おとなしくしていたつもりが、最後に池上さんの挑発を受けて、トーラスをめぐる「無限ゲーム」について質問したりしました。わたしにとっては、「無限小」の問題とも関連して、「時間」というものの根拠をたずねる哲学的な問いではありました。
翌日18日は、ひさしぶりに昔のわたしの「舞台」でもあった東京デザインセンターに行って、そこでおこなわれた、ロンドンの芸術大学セントラル・セント・マーチン大学の学長、学部長らによるデザイン教育のプレゼンテーションをきいて、みなさんと会食。昨年、訪れたロンドンがオリンピック以降すっかり変わってしまっているのに驚いたことなどをベースに、都市とデザインについて楽しく会話をしました。
さらに19日火曜には、今度は、仏語。日仏会館で行われたブルーノ・クレマンさん(パリ第8大学)の講演を聴きました。「哲学のフィギュール」という題。レトリックと哲学のあいだの係争を論じたものでしたが、これも最後に、引用があったレヴィナスのテクストをもとに、そこで言われている「自由」というようなイデーを「フィギュール」(二重の意味でです、もちろん)と見なせないか、というような挑発を投げてみたりした。
これらどの回も、主催者・ホストという責任ある位置にいないので、気楽ですねえ。でも、英英仏の3番勝負は結構スリリングでおもしろかったです。
でも、どこに行っても感じますが、数年前に較べて、若い人たちのこういう会への好奇心が低下していますね。ネット世代は、「生の人」のプレザンスというものを避ける傾向にある。でも、プレゼンスという情報に還元できない「無限小」のなかにこそ、真理というものはあるのですがね。他者への飽くことなき好奇心こそ人文科学のエネルギーの源なのですが・・・
(写真は、サルターさんの会で、池上さんに質問しているわたし、立石はなさんの撮影です)。