★ 訃報
またしても訃報です。UTCPの友人のひとりであったパリのE. H.E.S.S.(社会科学高等研究院)のジョエル・トラヴァールJoël Thoravalさんが7日、入院中だったカルカッソンヌの病院で亡くなりました。
悲しい、つらいです。かれも1950年生れですから、まったく同じ年。もう十年くらい前でしょうか、中島隆博さんの紹介で、本郷の居酒屋でワグナーの話しをして意気投合して以来の親友です。2010年秋にはUTCPのエルサレムの旅にもつきあっていただいたし、わたしがパリに行くたびごとに、かれの講義に呼んでくれて、中国哲学のことなどなにもわからないのに、いっしょに授業をしたりした。世界に対する知的な好奇心と感受性において、なにか共通するものを感じていました。拙著の『存在のカタストロフィー』(未來社)の表紙は、エルサレムの荒野を歩いているかれとわたしの写真がアレンジされています。
少し迷いましたが、昨年11月27日に、わたしがジョエルからもらったメールをここに公開します(フランス語のまま、翻訳はしません。)でも、そのなかで、かれがわたしがコレージュ・ド・フランスで行った講義について、それを延長して対話をしようと呼びかけてくれていることに、胸がつまります。いったいほかのどのフランス人がわたしの呼びかけに答えてくれたでしょう。ジョエルはほんとうにわたしが投げたボールを受けとめてくれた。そして、共通のフロントを構築しようとしてくれた。11月には、久しぶりにあんなに元気に、台湾と韓国に行くことを語り、日本が恋しいと言っていたのに、こんなにも早く幽明境を異にするなんて。もういっしょにお酒を飲みながら議論できないなんて、失ったものの大きさに茫然とします。涙が流れます。病院で最後の苦しい息の下でも冗談を口にしないわけではなく、けっして苦しみを嘆くことはなかったという話しを伝えきいて、さすがジョエル、と、わたしもそこにいてその冗談に同調したかった、とつくづく思いました。ジョエルの魂の安らかであらんことを。ジョエル、どんな形であるのかはわからないけど、われわれの友情はかわらない、終らない、そうだよね!
2015.Nov.27.
Cher Yasuo,
Que d’étranges moments nous vivons…
C’est comme si la banquise politique qui nous entourait se mettait à craquer, et que les anciens repères devenaient soudain indiscernables…
J’ai pensé à toi lors des attentats du Bataclan, etc, sans savoir si tu étais à Paris ou au Japon.
Je suis actuellement à Genève (où je viens de donner une conférence) mais je retourne à Paris pour une semaine.
Après quoi, en décembre, je serai en Corée et Taiwan.
Mais le Japon me manque!
Sur quels thèmes travailles-tu ces temps-ci?
Je reste dans l’après coup d’un livre https://global.oup.com/academic/product/the-sage-and-the-people-9780190258146?cc=fr&lang=en&
mais je suis déjà dans autre chose.
J’aimerais beaucoup te rencontrer à nouveau, autour d’un verre, et avec des percepts/ concepts plein la tête!
Bien à toi,
Joël
PS J’ai gardé mes notes de ta premières conférences au CdF (« NOTRE après guerre », « la politique minimale »…)
Un jour, nous écrirons peut-être ensemble un dialogue, ou des « Lettres à un ami français ».
Franchement, il y a entre nous un espace possible d’interlocution.
J’étais frustré par le silence qui a suivi ton intervention au CdF, j’aurais aimé que l’espace soit donné à une vraie discussion.