破急風光帖

 

★ 日日行行 (19)

2016.02.02

★ 2月になりました。誕生日が今月(6日)であるせいか、空気は冷たいけど春の光というまさしく立春の世界が好きです。ようやく時間の新しい循環がはじまるという気がします。

 例年だと卒論・修論など10は下らない数の論文を読まなければならない時期なのに、今年は、正式の審査は、青山学院大学院の修論1本だけ。アウトサイダー・アートに関するものでしたが、昨年の秋にパリで観たヘンリー・ダーガーの展覧会のことなどを思い出しながら、楽しく読ませてもらいました。審査の後は、そのままNHKで「クール・ジャパン」の収録。今回のテーマは「海の幸」。日本人の味覚のなかに、単に味だけではなく触覚(歯ごたえなど)があることなど、いつものように勝手な「ご意見」を申し上げた次第。この番組は、初回以前のテスト版のときからのつきあいですが、来年度も継続されるそうで、長寿番組になりつつあります。
 今後の予定としては、2月10日にまた日比谷図書文化観でのトーク(上廣倫理財団・主催)です。作家の朝吹真理子さんをお招きしています。そしてその後は、IHSのプログラムの企画でバリ島のウブドに行くことになっています。いま、国内外の知人友人から、バリ島についての特別な情報を集めているところ。あくまでも「人」に会うことをモットーにしているからです。「人」を通して、はじめてその土地固有の文化の生きた姿が見えてきます。モノを観るだけの「観光」ではいけない。たとえ短い時間わずかなものであっても、異質な文化との相互的な交流こそが、われわれ人文学者の使命です。でも、そのためには、「人」のネットワークを通して、「人」についての情報を得なければならない。どんなによくできたガイドブックでも、それは与えてくれないのですから。そういう準備をしているところです。
 


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