破急風光帖

 

★ 日日行行 (13)

2016.01.09

★ 赤、aqua, 水
  赤よ!
  流れて
  渦巻いて
  わたしの声となれ!

 本ブログ上では山形からすでに帰ってきてしまいましたが、時間を戻して、山形の出来事を報告しておきます。すでにご案内したように、東北芸術工科大学(芸術学部美術科テキスタイルコース)主催で行われたこの第8回の「紅花ルネサンス」ーーーわたしは20代からの友人の辻けいさんの依頼で、「赤」をめぐるパフォーマンスを行いました。これをわたしひとりの創造にしないで、駒場のIHSプログラムともリンクさせて、ダンサーの山田せつ子さんの素晴らしいダンスを接続し、さらに学生たちと舞台をつくったわけです。18日に山形入りして、「こども劇場」の舞台でリハーサルというより、はじめてつくりあげていく。でも、その合間に、今年採集した紅花の染料を使った紅花染ワークショップが開かれているのにも、短時間駆けつけて、染め上がったばかりの布を寒風に晒す作業にも参加。鮮やかなこの色をごらんください。
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そして翌日がいよいよ本番。菊間晴子さんと半田ゆりさんが白と黒の衣装で舞うなか、わたしは、
片手にもった鈴を振りながら、オシリス神話に題材をとった「イシス、赤の糸を手繰って」という詩的テクストを読み上げました。
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ラカンの「分断された身体」ではありませんが、オシリスの分断された身体を、赤い糸で縫い合わせて復活させるイシスの生命の営みを歌ったもの。もちろん、長年、「赤」を追求し続けている辻けいさんへのわたしのオマージュでもありました。
 
 この19日の夜は、パフォーマンスを観にきてくれて、その直前には、辻さんとともに舞台で「紅(アカ)」をめぐる鼎談を行ってくれた副学長の、というよりアーティストの宮島達男さんに山田せつ子さんともども招かれて会食。その折に、宮島さんはなんと、わたしのためにご自分の小さな作品(Seven times in red)をつくってプレゼントしてくださった。じつは、かれとは、もう十年以上も前に、韓国の光州ビエンナーレでペアを形成して参加したことがあったのでしたが、そのとき約束してくれた作品を、いま、くださったというわけ。過去の時間が回帰して、贈与となる瞬間ではありました。その作品は、いまはわたしの自宅の壁で赤い光を放っていますが、これも、素晴らしい「クリスマス・プレゼント」でありました。(もらいすぎだね)。感謝!


 


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