★ 日日行行 (4)
2015.10.02
★ 9月27日(日)、駒場の池上高志さんと三鷹の天命反転住宅で対談トークを行いました。
このトーク、荒川修作さんとわたしの対談集『幽霊の真理』(水声社)の今春の刊行を記念したものであり、同時に、天命反転住宅10周年のイベントの一貫でもありました。
荒川さんという人は、わたしにとっては、人間のこの地上における「住み=棲み方」を、根本的に革命するという、ある意味では不可能な「革命」を行おうとした人。10年にわたる、わたしとの対話では、荒川さんはつねに「つくる」ということを主張しつづけて、わたしは、哲学者的にと言いましょうか、「つくらないでも、わかればいいのでは?」と言いつづけた。でも、どちらも、まさに「絶対自由」(荒川)、「条件解除」(わたし)を目指していたことは確かです。
じつは、現在の科学はこの問題に迫っている。つまり、システムそのものが固定的なものではなく、自己組織的というか、カオス的な創造性をすら内包しはじめている。そこで、物理学者でありながら、アートに最接近している池上さんに、この問題を解き明かしてもらいつつ、荒川さんのプロジェクトを未来にむけてどう受け継ぐのか、それを考えることが問題となりました。
自然科学の知と人文知のあいだに交流が起こり、火花が散る、それこそ、いま、人文知が必死の思いで果たさなければならない時代の挑戦だと、わたしは確信しています。