破急風光帖

 

★ 風光三昧 (9)

2015.09.01

★ 高野山から降りてきて、8月21日(金)の夜、下北沢の書店B&Bで、セゾン現代美術館館長の難波英夫さんとともに、荒川修作さんについてのトークが開かれました。この春に水声社から刊行された荒川さんとわたしの対話集『幽霊の真理』をめぐるイベントです。

 じつは、難波さんは、キュレーターとして荒川さんとずっと長いおつきあいのあった人。わたしのように散発的にお会いして、パブリックな場所での対話を続けてきた者とはちがって、荒川さんの公私にわたってフォローしてきた方です。わたしとしては、抽象的な荒川論を展開するよりは、難波さんを通して、荒川さんの「肉声」を届けてもらいたかった。そして、その通りになりました。そして、その数々のエピソード、「声」のおもしろいこと。まさに荒川さんがそこに現れているようで、わたしは感動しました。
 その対話の最初のものは、1992年だったか、雑誌『ルプレザンタシオン』のためのものでしたが、わたしは、いろいろ考えて、「春とは何ですかねえ?」という禅問答のような問いを用意して緊張してのぞんだのでしたが、それをさらっと受け流したと見えた荒川さんも、じつは、その対話に結構深く傷ついたというか、渡り合ったというか、その夜、難波さんがおつきあいするなか、「温めたオレンジ・ジュース」!を注文しようとしたというお話しをうかがって、そうだったのか、そのように受け止めてくれていたのか、とちょっとこみあげるものがありました。
 もちろん、それだけではなく、荒川さんという不思議な存在の魅力が生き生きと立ち昇る夜となりました。難波さんには深く感謝です。
 
 もうひとつ、荒川修作さん関係のイベントが、9月27日(日)(午後3時)に、三鷹天命反転住宅であります。今度は池上高志さんとのトークです。ご案内は以下をごらんください。

 ABRF, Inc.
〒181-0015 東京都三鷹市大沢2-2-8 
三鷹天命反転住宅 #101
Tel:0422-26-4966 Fax:0422-26-4967
http://www.architectural-body.com

 


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