★ 朋朋偶来(1)
今週、パリから小包が届きました。あけると、なんと560頁もある分厚い書籍。UTCPにも来ていただいて連続セミナーを行っていただいた哲学者のアラン・ジュランヴィル Alain Juranville さんの新著です。Les cinq époques de l'Histoire (cerf-α)翻訳すれば、『歴史の5つの時代』ということになるか。なにしろ副題が、Bréviaire logique pour la fin des temps (時間の終わりのための論理的な聖務日課祈祷書)というもの。
駒場のセミナーでも強調していた「哲学はいまや資本主義という、最小の悪のシステムを擁護するべきだ」という主張を、古代、中世、近代、現代、そして Epoque acutelle(アクチャルな時代)の5つの段階を追いながら、展開する力作。もちろん、2011年のあの震災直後にレンヌで行ったわれわれUTCPとの共同シンポジウムのように、コジェーヴの「歴史の終わり」の図式を踏まえたものであることは言うまでもありません。これは、かれなりの仕方での「総合」の仕事でしょう。これに対して、わたし自身もまた別の仕方での「総合」を考えないわけにはいかないので、かなりきびしい「向かいあい」face à faceを覚悟しなければなりません。
しかし、そういう強力な刺激が届けられることは嬉しいですね。哲学はいま、この仕事を引き受けなければならないとわたしもまた確信しています。それが、哲学の責任です。過去の哲学者の仕事を解説していることのうちには、哲学の責任なんてない。それはアカデミズムへの逃避にすぎません。でも、同時に、それをどのように遂行するのか、とたんに絶望的に困難な壁にぶちあたります。そういうときに、その壁に果敢に挑戦して、攀じ登っている朋の仕事が届けられることは、勇気づけられます。