破急風光帖

 

★ 風光三昧(2)

2015.05.27

 いや、自分が踊るだけではありません。先週は、ご招待を受けて、山海塾の舞踏を観に行きました。20日の世田谷パブリックシアターです。タイトルは、『海の賑わい 陸の静寂ーーめぐり』。海百合の化石を一面の背景にした、陸と海とのシンプルな対比。生の原形質とでもいうような動きの数々。美しい場面の連続でした。ちょっと美しすぎるかなあ、と溜息が出ましたが。

そして24日には東京オペラシティコンサートホールで、わたしの最終講義後のダンスパフォーマンスにも特別出演していただいた清水靖晃さんとサキソフォネッツによる『ゴルドベルク・ヴァリエーション』のコンサート。サックスのきらめきとそれを支えるコントラバスの低音があいまって、バッハのあの曲が巨大な響きの塔のように立ち上がりました。それもそれぞれのヴァリエーションごとにまったく異なるemotionが震えて。聴きながら、わたし自身は、そう、存在のリアルとは、「想像的な可能性の重ねあわせ」であるという最近のわたしのフィロソフィアの命題をめぐって、ぐるぐるとめまいを起こしておりました。それにしても、こんな人に、わたしのダンスパフォーマンスの音楽を引き受けていただいたとは、なんという贅沢なことと、いまさらのように感動しました。


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