ブログ 2019年03月

2019.03.07 Permalink

 2月11日(月・祝)に駒場キャンパスKOMCEEにて、こまば当事者カレッジ2018年度冬期コース「生きづらさを考える」の第1回として、社会学者の牧野智和先生(大妻女子大学)をお招きし「『自己啓発』を書き換え、使い直す」というテーマでのワークショップを実施しました。

 書店に行けば必ずと言っていいほど自己啓発書のコーナーがある現代の社会は自己啓発的な言説にあふれています。しかし強者の論理と言える自己啓発には、生きづらさを感じている人の困難さをさらに助長してしまっている側面があるのではないでしょうか。


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 今回のワークショップでは、まず「自己啓発の歴史」を振り返り、現代社会の個人化を通じて「心」への関心がいっそう高まるなかで求められる自己啓発が、多様な見せ方とともに広がっていく過程を確認しました。そしてそのうえで、近年の自己啓発の一例である手帳術に焦点を当てて、参加者が具体的にいくつかの「技法」を実際に試しながら、その「効果」を体感するワークを行いました。
 今回はワークと並行して、希望者がレクチャーの内容について議論し、たとえば自己啓発や手帳術への違和感を掘り下げられるような場も設けています。ワーク後の意見交換では、同じやり方でも人によって感じられる効果は様々だが、実際に経験してみることで色々な気づきが生まれたという声が多く上がり、「距離を取る」ことも含めて自己啓発と「うまく付き合う」ためのヒントを参加された方に持ち帰っていただけたと感じています。


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                  (報告:中里)


2018年度冬期コース「生きづらさを考える」
https://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/projects/uehiro/2017/events/2018/11/2018/

2018年度冬期コース第1回「『自己啓発』を書き換え、使い直す」概要
https://utcp.c.u-tokyo.ac.jp/projects/uehiro/2017/events/2019/02/2018_1/