2020年2月13日(木),第6回「障害と共生」研究会が駒場キャンパス101号館にて開催された。 馬場は「家族関係における老親介護の意味:母娘関係に注目して」というタイトルで報告を行なった。介護以前からの親子関係の文脈のなかで介護を捉え直すことを目指したミックスメソッド研究の結果をふまえ,老いゆく親を介護する子介護者,特に娘介護者の体験について得られた知見を共有した。最後にこれをふまえた家族介護者向けの心理学的支援モデルを提示した。
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2020年2月13日(木),第6回「障害と共生」研究会が駒場キャンパス101号館にて開催された。 馬場は「家族関係における老親介護の意味:母娘関係に注目して」というタイトルで報告を行なった。介護以前からの親子関係の文脈のなかで介護を捉え直すことを目指したミックスメソッド研究の結果をふまえ,老いゆく親を介護する子介護者,特に娘介護者の体験について得られた知見を共有した。最後にこれをふまえた家族介護者向けの心理学的支援モデルを提示した。
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2019年12月24日(火)に、第5回「障害と共生」研究会が駒場キャンパス101号館にて開催された。今回のテーマは「禅と癒し」であった。研究会では、はじめに、田中慎太郎(UTCP/特任研究員)さんに研究会テーマについて導入を行っていただいた後、発表者である東島宗孝(慶應義塾大学社会学研究科後期博士課程)さんに、ご研究内容についてお話いただいた。以下は、田中さん、東島さんからの報告である。 はじめに、田中が、東島さんの発表に先立ち、現代社会における仏教のあり方について、主に第二次世界大戦後の欧米社会におけるアジア仏教の欧米化や、臨床心理学における瞑想を用いた心理療法の発展の概要について述べた。 続いて、東島は『坐禅と「解放」』というタイトルで発表を行った。その中で近代以降「禅」を取り巻く様々な文脈(「修養」「新霊性文化」「(臨済)宗学」)から坐禅が捉えられてきたことを踏まえた上で、現代の坐禅会で坐禅と「解放」がどのような点で結びつけられているのかという点を聞き取り調査の結果から検討した。そして坐禅と「解放」という概念の結び付き方は多様であり、背後にある文脈の絡まり合いを捉える必要性を論じた。 ディスカッションでは、今回参照した3つの文脈の妥当性、参与観察の意味、個々人の背景を考慮しすぎる危険性、禅宗内の利他―利己概念の再検討の必要性など非常に鋭いコメントをいただき、今後の研究への示唆を得ることができた。 (報告:田中、東島) |
こまば当事者カレッジ2019年度冬期コース「ひきこもりと居場所」の初回として、12月28日に板東充彦さん(跡見学園女子大学心理学部)をお招きし、「ひきこもりからグループ/コミュニティを考える」というタイトルでレクチャーとワークを実施いただきました。板東さんは臨床心理士として様々な臨床現場に関わりながら、ひきこもりの方々のサポートグループを立ち上げ、14年間ボランティアでグループの運営を継続されてきました。レクチャーの前半では、一般的なセルフヘルプ・グループになじみにくいひきこもり当事者の方々を対象に、治療ではなく「居られる」を目指した場作りを、板東さんが具体的にどのようにされてきたのかをお話いただきました。板東さんの場合、もう1名のスタッフとその時々で最大で10名の当事者の方とで、自己紹介/前回の感想に始まる90分のセッションを隔週で行っていく形での実施です。そこでは、話し手の相談を「みんなで聞き合う」という受容的な場作りによって、どんな人も排除せずに受け止め合うことが可能になっていたということでした。 続くレクチャーの後半では、板東さんがサポートグループの運営と並行して行っていた、セルフヘルプ・グループの代表者会議の立ち上げと継続についてお話いただきました。月一回、集まった人たちが話したいテーマでフリーディスカッションする場を作っていくなかで、心理職としてカウンセリングする関わりではなく、また専門職同士の対等な関係とも異なる中で、ご自身の立ち位置が徐々に意識化されていったとのことです。このような当事者との関わりについて、「支援する/される-医療モデル」「生活者として共に生きる-コミュニティ・モデル」という概念図式を参照しつつ説明いただきました。
プログラム後半のワークでは、板東さんに用意いただいた「新しいグループ/コミュニティを作りたい」「セルフヘルプ・グループ運営上の困難について」というテーマの他、「運営者コミュニティを作るには」「上下関係のないグループ/コミュニティを作るには」というテーマを参加者の方々に出していただき、グループディスカッションを行いました。
ディカッション後の全体共有では、グループ問わず対等なグループ/コミュニティ作りと継続的な運営の難しさが話題になったことが分かりましたが、それとともに新しい形のグループ/コミュニティへの期待感を参加者のみなさんと共有する時間にもなりました。(報告:中里) |