2019年9月25日(水)に、第4回「障害と共生」研究会が開催された。研究報告を行なったのは、遠藤希美(東京大学総合文化研究科博士課程)と原田玄機(白梅学園大学非常勤講師)である。
はじめに、遠藤が「ヒトの心身メカニズムを知るための実験的アプローチ」というタイトルで発表を行った。感覚と運動との相互作用を例に、実験的にどうアプローチしどのように定量化するかを説明した。最後にこうしたアプローチの限界やインタビュー等の質的なアプローチとあわせる重要性を述べた。
続いて原田が、「戦後日本の知的障害者処遇の対象変動――1970~80年代の特殊教育を中心に」というタイトルで報告を行った。ここでは、日本の知的障害児教育の対象変動とその要因の仮説を提示した。公的統計等の検討から、1970~80年代の特殊教育において、軽度知的障害児よりも中重度知的障害児を対象へと対象が変動していったことを跡づけたうえで、その背景には教員という資源の制約があったのではないかという仮説を提示した。
ディスカッションでは、学校に子どもを通わせる保護者の意向、心理検査の変化、学校卒業後のライフコースといった点を視野に入れるとよいのではないかというコメントをいただいた。普段とは異なる視点からコメントをいただき、今後の研究の方向性に関する示唆を得ることができた。
なお、本報告は、拙稿、原田玄機(2019)「養護学校義務化以後における軽度知的障害児の減少:特殊教育はどのような知的障害児を対象としてきたか」『〈教育と社会〉研究』第29号、pp.59-70をもとにしたものである。
(報告:遠藤、原田)