Sプロジェクト概要
S1「日本思想と共生」
プロジェクト・リーダー: 中島隆博・川村覚文
日本思想の遺産から共生とその倫理について議論・研究を進める。具体的には、シカゴ大学で日本研究のワークショップを行うのにあわせて、UTCP関連の若手研究者を数名連れて行き、報告してもらうという①シカゴプロジェクト、日本国内の近代思想の痕跡を辿り、ワークショップを行うという②哲学的フィールドワーク、子どもたちへのケア(特に教育面から)について日本思想から寄り添う道を考察し、提示するという③福島プロジェクトを実施する予定である。
S2「表象の現場──文学と芸術における共生──」
プロジェクト・リーダー: 中島隆博・武田将昭
表象の現場にいる作家やアーティストともに、作品を共有しながら共生の可能性を思考する。具体的には①文学アーカイブプロジェクト(文学的想像力の世代間継承のために、年配の作家をお招きしてそのインタビューをアーカイブにしていく。飯田橋文学会との共催。関連イベントも検討する)、②映像アーティストともに考える共生(社会的現実に迫る手法の一つして重要な映像を通じて、社会的共生の条件を考察する)、そしてこれらに関係するワークショップやシンポジウムなどを実施する予定である。
S3「心の哲学――総合研究と国際交流」プロジェクト
プロジェクト・リーダー: 信原幸弘
哲学の国際交流は若手同士の双方向的な実践が望ましい。海外の優秀な若手哲学研究者を半月ほど招聘し、その間に5回以上のレクチャーの機会を設けるという「受け入れフェーズ」、招聘した海外研究者のところに赴いて若手研究者が研究交流・研究発表する「送り出しフェーズ」は常にセットでなければならない。このような発想のもと、これまでUTCPでは2006年度より継続的に海外のかなり有望な若手研究者と交流を重ねてきた。そして、その成果は大学院生の留学先の多様化や英語論文執筆の増加など、着実に生み出されつつある。今後も年度ごとにテーマを定め、海外の有望な若手研究者との相互交流を実施する。
S4「若手育成・海外交流プロジェクト」
プロジェクト・リーダー: 石原孝二・梶谷真司
・BESETO哲学会議への発表者派遣
BESETO哲学会議は、北京大学・ソウル国立大学・東京大学の共催により、2006年度より計9回開催されている(第1回:ソウル国立大学、第2回:北京大学、第3回:東京大学[駒場]、第4回:ソウル国立大学、第5回:北京大学、第6回:東京大学[本郷]、第7回ソウル国立大学、第8回:北京大学、第9回:東京大学[駒場])、第10回はソウル大学で開催することが予定されている。発表者を公募し、日本国内はもとより、海外から会議のテーマにあわせて参加者を募るこの会議形態は、欧米では一般化しているが日本においてはまだ珍しく、先進的で挑戦的な試みである。
・若手研究者の育成・研究支援
若手研究者の育成および研究支援として、海外の著名大学の若手研究者や、著名な研究者との交流を深めることを支援する。また、海外や国内における学会発表や資料調査をUTCPがバックアップし、若手研究者の企画力・運営力を育成する。