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【関連イベント】シンポジウム「ディアスポラの力を結集する―ギルロイ、スピヴァク、ボヤーリン兄弟」

終了しました
Date:
2009年2月6日(金)13:00-18:00
Place:
東京麻布台セミナーハウス・大会議室[地図]

【開催趣旨】
ユダヤ・ディアスポラの思想経験から近代世界を乗り越えることを試みた画期的な一書、ジョナサン・ボヤーリン&ダニエル・ボヤーリン著『ディアスポラの力――ユダヤ文化の今日性をめぐる試論』(赤尾光春・早尾貴紀訳、平凡社、2008年)が翻訳刊行されました。

同書は、二千年来のディアスポラ経験を通じて発展したユダヤ文化を多面的に論じることで、近代国家の国民主義と領土主義を根底から批判するものとなっています。しかし、ユダヤ研究にとどまらず、人類学やジェンダー論や現代哲学やカルチュラル・スタディーズなど多岐にわたるボヤーリン兄弟の議論の射程は、私たち訳者二人によってもなお十分に理解し尽くせるものではありません。

他方ここ数年、「ディアスポラ」という問題視角は人文諸科学で、とりわけポストコロニアリズムの研究分野で広く共有されつつあり、ボヤーリン兄弟の問題意識と共鳴し合う仕事の日本語への翻訳も相次いでいます。そうしたなかで、ボヤーリン兄弟が論及しているポール・ギルロイおよびG・C・スピヴァクの大著の翻訳労作(『ブラック・アトランティック』および『ポストコロニアル理性批判』、ともに月曜社刊)は画期的なものでした。

ボヤーリンの翻訳刊行を期に訳者である赤尾と早尾は、これらの先行する労作の力を借り、それらを重ねて読み込むことで、ユダヤ・ディアスポラ論の理解を深めると同時に、ギルロイやスピヴァクの翻訳紹介に携わってこられた研究者の方々に、ボヤーリン兄弟をどのように読むのか、その読解可能性を開いていただきたいと考えました。

このシンポジウムでは、ギルロイ『ブラック・アトランティック』の訳者である鈴木慎一郎氏と上野俊哉氏、また別のギルロイの訳を進められている浜邦彦氏、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』の訳者である本橋哲也氏、スピヴァクと親交が深く招聘やインタヴューもされている鵜飼哲氏、ユダヤ思想研究を中心に領域横断的な研究をされている合田正人氏にご参加いただきます。

主催:赤尾光春・早尾貴紀(プロフィールは下記参照)
料金:参加無料/一般公開

【開催内容】

第一セッション
「ユダヤ・ディアスポラとブラック・アトランティックの出会う形」
鈴木慎一郎、浜邦彦、合田正人、赤尾光春(=司会兼)

第二セッション
「ディアスポラとサバルタンの位相」
本橋哲也、鵜飼哲、上野俊哉、早尾貴紀(=司会兼)

【当日参考文献】
ジョナサン・ボヤーリン&ダニエル・ボヤーリン『ディアスポラの力――ユダヤ文化の今日性をめぐる試論』(赤尾光春・早尾貴紀訳、平凡社、2008年)
ポール・ギルロイ『ブラック・アトランティック――近代性と二重意識』(上野俊哉・鈴木慎一郎・毛利嘉孝訳、月曜社、2006年)
G・C・スピヴァク『ポストコロニアル理性批判――消え去りゆく現在の歴史のために』(本橋哲也・上村忠男訳、月曜社、2003年)

【参加者プロフィール】
赤尾光春(大阪大学):編著『ディアスポラから世界を読む』(明石書店=近刊)、訳書ボヤーリン兄弟『ディアスポラの力』(平凡社)、他。
早尾貴紀(東京大学UTCP):主著『ユダヤとイスラエルのあいだ』(青土社)、訳書ボヤーリン兄弟『ディアスポラの力』(平凡社)、他。
鈴木慎一郎(信州大学):主著『レゲエ・トレイン』(青土社)、訳書ギルロイ『ブラック・アトランティック』(月曜社)、他。
上野俊哉(和光大学):主著『ディアスポラの思考』(筑摩書房)、訳書ギルロイ『ブラック・アトランティック』(月曜社)、他。
浜邦彦(早稲田大学):編著『ディアスポラと社会変容』(国際書院)、訳書ネグリ&ハート『帝国』(以文社)、他。
合田正人(明治大学):主著『レヴィナス』(ちくま学芸文庫)、訳書レヴィナス『存在の彼方へ』(講談社学術文庫)、他。
本橋哲也(東京経済大学):主著『ポストコロニアリズム』(岩波新書)、訳書スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』(月曜社)、他。
鵜飼哲(一橋大学):主著『主権のかなたで』(岩波書店)、訳書デリダ『友愛のポリティックス』(みすず書房)、他。


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