Projects - 上廣共生哲学寄付研究部門

L2 共生のための障害の哲学

障害」の概念は1970年代以降、障害者運動やイギリス障害学などによって問い直され続けてきた。現在において、「障害」とは何かという問いに対して誰もが納得する答えが得られているわけではないが、こうした障害概念を捉えなおす動きのなかで、健常者と障害者のカテゴリー的な区別や障害のスティグマ化を避ける方向にあったことは一貫していたと言えるだろう。他方でまた、「障害」との「共生」という問題や、ある機能に関して障害をもつ人とそうではない人との間の「共生」という問題は、解消されることなく課題として残り続けている。こうした共生の課題を問いとして整理するために、障害の哲学的な分析を踏まえた新たな障害概念の提示が必要となっている。
2012年度に始まった本プロジェクトでは、「共生のための障害の哲学」研究会の開催を中心として、べてるの家との討論会「当事者研究の現象学」やTom Shakespeare氏を招いた国際会議Disability Studies and Tohjisha-kenkyu(障害学と当事者研究)、立命館大学生存学研究センターとの合同シンポジウムなどを開催し、当事者や国内外の様々な分野の研究者とのネットワークを構築してきた。今後はこれまでに構築された研究ネットワークを強化し、連携を拡大しながら、障害とは何か、障害の概念が何故必要とされてきたのかを問い直し、共生のための「障害の哲学」を展開していく。この作業を通じて、障害という概念や、障害との共生という課題はそもそも必要なのかという問いも検討されていくことになる。

コーディネーター 石原孝二(東京大学大学院総合文化研究科・広域科学専攻)

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