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Title:

UTCPトークシリーズ「傷つくことと慈しむこと」第3回 ー植物のケアと日常の美学ー

要登録
Date:
2024年3月20日(水・祝)17時~19時
Place:
Zoom開催(無料・要登録)

UTCPトークシリーズ「傷つくことと慈しむこと」
第3回 ー植物のケアと日常の美学ー

本トークシリーズではケアをめぐって、様々な領域で研究・実践に携わる方々にお話を伺っていきます。誰かを気づかいつつ関わるという意味の「ケア」は、私たちの生活のあらゆる場面に関わるものでありながら、表立って考えるのがなかなか難しいものです。
そのケアについて、今回は「植物」と「日常」をキーワードにして考えます。

ゲストは園芸家で「プランツケア」を提唱する川原伸晃さんと、環境美学・日常美学を専門とする青田麻未さん。
植物をケアするとはどんな営みなのか、植物から私たちが受け取る「ケア」とはどんなものなのか。そもそも植物とはどんな存在で、それを育てたり愛でたりすることは私たちの日常をどのように形づくるのか。

植物の具体的な手入れから、植物の生死とは何か、そもそもケアとは何かといったことまで、参加者の皆さんとともに考える時間になればと思っています。
※参加者の方にはチャットで議論にご参加いただけます。

【日時】2024年3月20日(水・祝)17:00-19:00
【場所】オンライン(Zoomミーティング)
※ゲスト、進行役、関係者のみ対面で集まり、その様子をオンラインでお届けします。
【参加方法】参加は無料です。以下のURLからお名前とメールアドレスをご登録ください。
https://u-tokyo-ac-jp.zoom.us/meeting/register/tZYsfuCvrTMiH9NHqPjEpqHcxPaq6HoWh8n1

【ゲスト】
川原 伸晃(園芸家、観葉植物専門店REN主宰)
青田 麻未(群馬県立女子大学講師)

【企画・進行】
宮田 晃碩(UTCP特任研究員)
中川 瑛(UTCP研究協力者)

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【背景】
・トークシリーズ「傷つくことと慈しむこと」で考えたいこと
トークシリーズ「傷つくことと慈しむこと」の出発点はいわゆる「ケアの倫理」です。その内にも様々な議論がありますが、基本となるのは「人間を自律的な個人として捉えるのではなく、むしろ傷つきやすく、他者に依存して生きる存在として捉える」という観点です。一人ひとりの「傷つきやすさ」を受容し、そのニーズ(物質的にも精神的にも)に応えることに倫理の出発点を見定めるのが「ケアの倫理」です。
 これは重要な考え方ですが、そうした倫理の実現は容易ではありません。「傷つきやすさを受容する」ことを妨げる様々な要因が社会にはあります。社会の仕組みがそれを阻むこともありますし、むしろ制度が未整備であることによって、専門的なケアや日常的なケアに携わる人々が見放され疲弊していくということもあります。
 そこでこのトークシリーズでは、そもそも「傷つきやすさを受容する」ことはどのように為されるのか、それを支える(ないしは阻む)ものは何なのかについて、あまり考えられてこなかった観点から検討したいと思っています。

・今回「植物」と「日常」について考えたい理由
私たちは「このようにケアすべし」と言われただけでその通りに動けるわけではありません。それにはケアを促し、支えてくれる環境が必要です。第1回で居場所について考え、第2回で職場とコミュニティに着目したのもそうした動機からでした。今回はそうした環境を構成するものとして、植物に着目したいと思います。
 植物はケアの営みの背景にあるだけでなく、ケアの対象にもなります。人間は有史以来、農作物をつくり、森を管理し、死者に花を手向けるといった仕方で植物と関係を築いてきました。現代の私たちはオフィスや自宅に観葉植物を飾り、日常生活を彩ります。しかし観葉植物は「ケア」する対象ではなく、もっぱら消費対象として普及してきたのではないかと、プランツケアを実践する川原さんは指摘します。もしそれに対して、身近な植物の生を「活かす」実践が浸透するなら、私たちの日常そのものがケア的なものへと変わりうるのではないでしょうか。
 植物のケアにおいて興味深いのは、それが人間の思うままに植物を成形するのではなく、むしろ意のままにならない性質を見出しながら、美しく整えるという点にあります。そして植物はときに人間より長く生きますし、そもそも人間のような「個体」の観念をはみ出すところがあります。そうした存在と関わるとき、私たちの日常はどのように形作られるのでしょうか。環境美学・日常美学を専門とする青田さんが指摘するのは、「日常」とはさまざまな出来事やものとの出会いによって変化するものであり、私たちはその変化のなかで試行錯誤しながら自らの生活を形作っているということです。
 今回もうひとつキーワードとなるのは「美学」です。美学という言葉は高尚な趣味の世界を思わせるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。「美学(aesthetics)」とは元来、「感性」を問う学問です。私たちが何を美しいと感じるか、何を快いと感じるかは「ケア」の営みの根幹にかかわることでしょう。「美」の好みや流行りは様々です。幾何学的に計算された美が称揚されることもあれば、消費者の好みを逐一反映した美・快が市場を席巻することもあるでしょう。人の手が入らない自然に美を感じることも、「里山」のように暮らしと自然が密着した風景に美を感じることもあると思います。「何をすべきか」という倫理学的な問いの立て方では見過ごされるものが、「何を快いと感じるか」という美学的な問いによって見えるかもしれません

【参考書籍】
青田麻未『環境を批評する:英米系環境美学の展開』春風社、2020年
川原伸晃『プランツケア:100年生きる観葉植物の育て方』サンマーク出版、2023年
(2024年、海外翻訳版刊行予定)

【主催】
東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属 共生のための国際哲学研究センター(UTCP)上廣共生哲学講座


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