Title: | フランチェスコ・カンパニョーラ講演会「隠喩としてのルネサンス――第二次大戦前後のヨーロッパ・アメリカ・日本における歴史記述を通して」終了しました |
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Date: | 2014年6月20日(金) 18:00-20:00 |
Place: | 東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム4 |
講演者:フランチェスコ・カンパニョーラ(ゲント大学研究員)
表題:隠喩としてのルネサンス――第二次大戦前後のヨーロッパ・アメリカ・日本における歴史記述を通して
ルネサンスは、哲学と歴史学の研究対象として、戦前から戦後にかけてその富を大いに増すことになった。研究者にとって「ルネサンス」なるものは、その強力な象徴性、その豊饒な隠喩性のゆえに、時代を画する変化へのありうべき経路を示す文化的タイムマップを表象していたのである。さらに言えば、ルネサンスは、危機と頽廃と再生の関係性のパラダイムと見なされることすらあった。このときの再生とは、多くの解釈者の考えでは、なによりもまず人間の再生のことであった。その意味で、ルネサンス――なかでもイタリアの15世紀――が表象していたのは、「ヒューマニズム」へのより普遍的な関心という歴史精神であっただろう。「ヒューマニズム」こそが、あの恐るべき社会的動揺と戦争の時期を、またその直接の後遺症を、特徴づけているのだ。
この講演では、亡命ドイツ系ユダヤ人、イタリア人、日本人という、三つの学者のグループが、それぞれみずからの苦境とのかかわりでどのようにルネサンスを表象し、象徴的に思い描いたのかについて考察する。ハンス・バロン、ポール・オスカー・クリステラー、エウジェニオ・ガレン、林達夫、花田清輝などの著述家の仕事は、危機と再生との関係について、またそのなかで人間がなしうる役割についての多角的な探究になっている。彼らのルネサンスに対する見解に映し出された個人的・社会的・政治的条件のひろがりを検討することで、わたしたちは、「再生」の可能性の条件という哲学的問題に取り組もう。そうして、かかる条件が、歴史的に限定された伝統の偶然性と人間文化の超越論的領野とのあいだで、いかに考えられるのかを論じることにしたい。
コメンテーター:池野絢子(日本学術振興会特別研究員・PD)、岡本源太(岡山大学)
司会:星野太(東京大学)
日時:2014年6月20日(金)18:00-20:00
会場:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム4
使用言語:英語(通訳なし)|入場無料|事前登録不要
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フランチェスコ・カンパニョーラ(Francesco Campagnola)
哲学・思想史。現在、ゲント大学研究員。主著に『18世紀イギリス・アイルランドにおけるアナロギアの理論——〈一なる理性〉の終焉』(Teorie dell’analogia tra Irlanda e Inghilterra nel secolo XVIII. La fine dell’unità della ragione, Olschki, 2012)、日本語論文に「自己、社会、そして神に反して——哲学・法学・文学に見る18世紀イタリアの自殺論」(『現代思想』2013 年5月号)、「「文芸共和国」の分断——学問の共同体における制度と個人の関係」(『ディアファネース』第1号、2014年)など。
主催:科学研究費補助金(若手研究B)「西洋近代における「崇高」の思想史:美学および関連諸学への領域横断的アプローチ」(研究代表者:星野太)
共催:東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属 共生のための国際哲学研究センター(UTCP)