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Title:

【関連イベント】認知哲学研究会第7回

終了しました
Date:
2012年3月19日(月)13:30-18:30
Place:
東京大学駒場キャンパス16号館1階107号室

シンポジウム「道徳と感情——ヒュームから脳科学まで」
提題
 真船えり(日本大学):「ヒュームにおける道徳感情と道徳的評価」
 立花幸司(千葉大学):「伝統的で哲学的な道徳理論に何ができるのか」
 亀田達也(北海道大学):「「分配の正義」の行動的・神経的基盤——Rawlsと不確実性」

提題概要
*真船えり「ヒュームにおける道徳感情と道徳的評価」
ヒュームにおける「道徳感情」がいかなるものであるかについては研究者のあいだで諸説があり議論が絶えないが、ヒュームの分類するところの間接情念であろうとする説が有力である。またいわゆる道徳判断は、性格に関する徳あるいは悪徳による評価であり、それが特殊な快苦の感情に依存することについては、一致していると思われる。ヒュームによれば、性格についての評価は特定の利害関心を離れた一般的観点によるものでなければならない。道徳感情は感情であっても一般性をもっている。ヒュームは、「道徳性は、判断されるというよりは、より正確に言えば、感じられる」と論じる。そのため従来しばしば、ヒュームは道徳判断を、認知内容を含まない感情にすぎないものとしてしまっている、などと批判されてきた。本報告では、ヒュームの道徳感情には認知的側面が含まれることを示し、ヒュームにおける道徳感情と道徳的評価の仕組みについて考察したい。

*立花幸司「伝統的で哲学的な道徳理論に何ができるのか」
現在、道徳の脳神経科学研究の多くが道徳的判断における感情(にかかわる脳部位)の役割の重要性を指摘している。同時に、こうした研究成果に基づき、一部の脳神経科学者たちは伝統的な哲学的道徳理論の妥当性に疑念を表明している。この背景には、伝統的な哲学的道徳理論の多くが「理性」の役割を重視し、「感情」の役割を軽視ないし否定的に見積もってきたという西洋哲学の歴史がある。道徳の脳神経科学からのこうした指摘ないし挑戦にたいしては哲学の側からの応答もあり、両者のあいだには様々なかたちの相互作用がみられる。提題者(立花)は、こうした相互作用に注目しながら、伝統的な哲学的道徳理論に道徳を解明することができるのか、できるとすればなぜ、そしてどのようにしてできるのか、を考察する。

*亀田達也「「分配の正義」の行動的・神経的基盤——Rawlsと不確実性」
John Rawlsの『正義論』に代表されるように、「正義」をめぐる論考はこれまで規範論的な立場(~すべし)から行われてきた。そうした規範的論考は人文社会科学に大きなインパクトを及ぼしてきたが、それらの議論が人間行動に関する実証的な知見(~である)とどのように接合されるのかは明らかでない。ここでは、有力な正義原則としての「平等原理」、それと対峙する功利主義的な「効率(efficiency)基準」との深刻な対立が、どのような条件の下でどのように乗り越えられるのかという問いを軸に、Rawlsの分配の正義をめぐる議論と、行動科学・脳科学的アプローチとのマッピングを図る。社会的分配に関する選好がリスク下の意思決定における選好と密接に関係する可能性を、認知・行動・脳イメージング実験により検討する。

世話役:
  信原幸弘(東京大学/UTCP)

使用言語:日本語
入場無料・事前登録不要


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