Projects - 上廣共生哲学寄付研究部門

L1 東西哲学の対話的実践

本プロジェクトは、東洋哲学と西洋哲学の対話を通じて、近代と伝統、西洋と日本・東洋の関わり・絡み合いを問い直す国際的共同研究を実践している。近代の文脈において、東洋と西洋は近代―伝統という対立軸にパラフレーズされながらイメージされてくることが多かった。しかし、近代の歴史性を空間的布置に還元することによって、現代の人類が直面している危機や問題は克服できるだろうか。危機の克服を試みる際に東洋的なものの復権によってそれを可能にしようとする欲望は、東洋(および非西洋地域)の近代において広く見られるものであろう。それが過去の無用な対立と敵対を避けられなかったことをわたしたちは忘れてはならないだろう。
生命を定義する条件そのものが揺らぎ、人の知覚と知性によるコントロールが無意味になるほどに近代科学は肥大化・複雑化し、一方で、人と人・集団と集団のあいだのコンフリクトは文明の対立として尖鋭化している。こうした21世紀の危機を前にして、わたしたちが目指すべきなのは、単に近代(そして西洋)に対置される何ものかを想像することではない。人類がこうしてあることの歴史性を所与のものと受け入れつつ、なおもすべての他者と対話による共生の可能性を共有することである。そしてそのさいに、哲学が知を愛する学問であること、そして同時にそれが友を希求する知恵であることにかけることである。
以上に鑑みて、本プロジェクトは、言語や文化の違いを超えた国際的な哲学的共生のネットワークを発展させていく。

コーディネーター
中島隆博(東京大学東洋文化研究所)
石井剛(東京大学大学院総合文化研究科・地域文化研究専攻)

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