【発足】公開共同研究「哲学と大学」
2007.11.05
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公開共同研究 (西山雄二・宮﨑裕助主催)
「哲学と大学――近代の哲学的大学論の系譜学と人文知の未来」
哲学を通じて、大学において、現在、私たちは何を知りうるのか、
何をなすべきか、何を希望することを許されているのか。
近代の大学の誕生は、哲学の学問的覇権の確立と不可分である。フンボルトのベルリン大学建設以来、哲学は学問の有機的統一性を保証し、大学の理念を支えるものとされてきた。大学における哲学の地位の後退は、それゆえ、20世紀を通じて明らかになる「哲学の死」と深く関係する。また、哲学の他分野(文学・芸術・社会・政治・人類学・精神分析)との混交によって、伝統的な人文学の枠組みは複雑な仕方で変容し続けている。
本共同研究の目的は、各哲学者の大学論を批判的に考察することで、哲学と大学の制度や理念との関係を問い直すことである。これは哲学と大学をめぐるある種の「没落の歴史」の考察となるだろう。
カント、フンボルト、フィヒテ、シェライアーマッハー、シェリング、ヘーゲル、ニーチェ、ハイデガー、オルテガ、ヤスパース、デリダ・・・近代において、ほとんどの哲学者は大学教師である。彼らはその歴史的・社会的状況において、教師として大学制度のなかでどのように振舞ったのか。彼らはその大学論においていかなる哲学的主張を展開しているのか。そうした大学論は彼らの哲学の理論や実践においていかなる位置を占めるのか。哲学と大学をめぐる議論のなかから、各哲学者の教育法や教育論、学問論、教養論、人間論、人文学論といった主題も浮かび上がってくるだろう。