世俗化・宗教・国家 / Secularization, Religion, State

mos056.jpg


現代世界においては、イスラーム復興の運動がひときわ目を惹く。しかし、これはイスラーム教に特殊な現象ではなく、世界全体で同時に生じている宗教復興の一環ととらえるべきではないか。よく観察すると、キリスト教、ヒンドゥー教、儒教などでも同様の運動が見られる。その一方で、一九世紀以来の世俗化という現象が、世界各地で着実に進行している。宗教復興と世俗化というこの対照的な二つの方向性はなぜ生まれ、ともに現代世界で影響力を持っているのだろう。現代世界はこの二つのベクトルによって引き裂かれつつあると理解すべきなのだろうか。二つの相反するベクトルがある社会でぶつかる時(例:ヨーロッパ諸国におけるムスリム移民)、そこに生じる摩擦や反発はどうすれば解消できるのだろう。人類の共生を実現するためには、世俗化と宗教、さらにこれらと関わる国家という三つの要素が、どのような関係を築くべきなのだろう。

これらの問題を考えるために、とりあえず、世界のいくつかの国、社会、地域における世俗化や宗教復興の具体例を知り、それに関する議論や研究を参照することから始めたい。取り上げる国や地域は、参加者の関心に応じて柔軟に考えるが、いまのところ、日本、アメリカ、フランス、エジプト(またはトルコ、イランなど中東諸国)を考えている。


↑ページの先頭へ