Title: | 「気候変動」と人文学―地表性、再記入、記憶の体制終了しました |
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Date: | 2008年2月27日(水) 17:00-19:00 |
Place: | 東京大学駒場キャンパス18号館4階 コラボレーションルーム3 [地図] |
発表者:トム・コーエン
(ニューヨーク州立大学アルバニー校教授、「批判的気候変動に関する研究所」研究ディレクター)
(使用言語:英語、入場無料)
講演要旨:
本講演では、人文学、とりわけ20世紀の人文系理論の遺産に対する「気候変動」のインパクトについて論じる。私たちが「気候変動」と呼ぶものが、人間中心主義的な伝統的言説からの移行を伴っており、時間軸を縮めるような「敵のない脅威」を考慮するよう促しているのだとすれば、次のような問いが提起されることになる。すなわち、21世紀の諸地平は、現在の批評文化においてひとつの断絶や中間休止を構成するのかどうか――そして時間、指示作用、知覚作用の諸モデルをめぐる方向づけをあらためて構成するのかどうか、という問いである。問題なのは、今日、ポストグローバルな政治は、認識論的なものにはならなくなるのか、そしてこのことはどのように表象作用やエクリチュールのシステムに関係するのか、ということである。より明確化して言うなら、それは、いかなる再記入が可能なのか、ないし必要になるのか、と問うのであり、私は、ヒッチコックの『鳥』をひとつの寓話および目印として検討しながら、こうした問題を、デリダが「アーカイヴ」と呼ぶものや、テレテクニック(遠隔技術)、読解、戦争、映画といったものにおける変異現象についての議論に組み込んで並行的に論じることを試みたい。
⇒[報告]
トム・コーエン氏(ニューヨーク州立大学アルバニー校)は、ド・マンやデリダについての重要な論集(『物質的出来事:ポール・ド・マンと理論の死後の生』『ジャック・デリダと人文学:領域横断的読本』)を編集した研究者である。最近では、「批判的気候変動に関する研究所」の研究ディレクターを務めている。この研究所は、地球の生物環境の変化と批判的思考を架橋しつつ、今世紀の「生」の在り処をを多角的に検討するというユニークなプロジェクトである。
トム・コーエン主要著作
Anti-Mimesis from Plato to Hitchcock, Cambridge UP, 1994.
Ideology and Inscription: "Cultural Studies" after Benjamin, de Man, and Bakhtin, Cambridge UP, 1998.
Material Events: Paul de Man and the Afterlife of Theory, Contributing Editor, University of Minnesota Press, 2000.
Jacques Derrida and the Humanities: a Transdisciplinary Reader, Contributing Editor, Cambridge UP, 2002.
Hitchcock's Cryptonymies 1: Secret Agents, University of Minnesota Press, 2005.
Hitchcock's Cryptonymies 2: War Machines, University of Minnesota Press, 2005.
【関連イベント】
シンポジウム「哲学と大学―人文科学の未来」2008年2月23日(土) 13:00~18:00
場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム1
岩崎稔(東京外国語大学)、鵜飼哲(一橋大学)、大場淳(広島大学)、大河内泰樹(埼玉大学他非常勤講師)、藤田尚志(学術振興会特別研究員)、小林康夫、西山雄二、宮崎裕助(UTCP)
【関連イベント】
UTCPワークショップ「高学歴ワーキングプア―人文系大学院の未来」
2008年3月17日(月) 17:00~19:00
場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階 コラボレーションルーム3
講演者:水月昭道
(浄土真宗本願寺派僧侶〔教師〕 釋昭道、
立命館大学衣笠総合研究機構人間科学研究所研究員)
司会:西山雄二
入場無料、事前登録不要