Title: | 「共生のための障害の哲学」第3回研究会終了しました |
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Date: | 2012年7月24日(火)11:00-12:30 |
Place: | 東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3 |
「共生のための障害の哲学」第3回研究会
講演者:飯島和樹(UTCP)
タイトル:「言語の神経科学から障害の実験哲学へ」
使用言語:日本語|入場無料|事前登録不要
当研究会では,まず,発表者がこれまで関わってきた言語の神経科学についての紹介を行う.主に,統語処理の脳内基盤をテーマとした研究について紹介し,脳における統語処理の自動的,予測的な性質について概説する.このような実験的な言語研究と理論言語学の間には,かねてより competence と performance との区別に基づく緊張関係が存在するが,両者を緩やかに統合するヴィジョンについて展望を述べる.こうした緊張は,理論形成において一人称的直観のような経験データをどう扱うかという問題に根ざすものであり,そうした問題意識のもとで,「実験統語論」と呼ばれる新しい研究領域が形成されつつある.興味深いことに,同様の問題はほぼ同時期に哲学のフィールドにおいても,「実験哲学」という新しい潮流においてトピックとされ,注目を浴びはじめている.これらの新分野では,専門家と非専門家の直観の差異も議論の対象となっている.以上の流れをふまえて,後半は実験哲学の現状を概観し,障害概念の問い直しにおける実験哲学の有効性を考察し,同時に,当事者研究との接合を模索する.