作品：『蒙古横断』
制作：薄守次
公開年：1924年
上映時間：100分
字幕：なし

所蔵：日本大学文理学部図書館（寄贈者：薄悦子）

ディスカッサント：畠山宗明　國學院大學、文教大学、跡見女子学園大学非常勤講師（映画学）。
※ディスカッサントは薄益三の曾孫にあたります。

『蒙古横断』は「大陸浪人」として知られる薄益三と甥の守次が内モンゴルで撮影した記録映画である。彼らは辛亥革命期に大陸で活動したいわゆる「日本人馬賊」の走りであり、益三は「天鬼将軍」、守次は「白竜」という通称でそれぞれ知られていた。彼ら20世紀のはじめに中国に渡り、牧場経営や日本軍相手の商売を行なっていたが、ほどなくして私兵を組織し、満蒙独立運動と呼ばれる民族自決運動に参加した。彼らは運動を通じて内モンゴル王家と知り合い、彼らが北京から内モンゴルに帰還する際に同行を許された。益三・守次らは満鉄映画部から機材とスタッフを借り受け、彼らの旅の道程や内モンゴルでの人々の生活を撮影した。満鉄映画部は撮影されたフィルムに興味を持たなかったので守次が編集を行い、この作品が完成した。このフィルムは守次の娘の薄悦子氏によって保管され現在では日本大学文理学部の図書館に所蔵されている。