Events / イベント

« 前へ | 次へ »
Title:

UTCPレクチャー「戦後日本における生と真理」

終了しました
Date:
2011年7月4日(月)18:00-
Place:
東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム1

UTCPレクチャー
戦後日本における生と真理

講演者:丹生谷貴志(神戸市外国語大学)

趣旨
 敗北者へのコンパッション、望みなく敗走する敗走者への共感(コンパッション)、「社会から外れてしまった者」、「社会に内属できずに生きる者」への共感において、「生と真理」を問うこと。
 生と死の窮迫のはざま、緊迫と同時に茫漠がないまぜになるような状況において、敗走は人間の生の条件といえるかもしれない。「人間」というのは社会的概念、ただひたすら概念にしか過ぎず、何処にも存在しない。実際に存在するのは個々の個体であって、人間が「人間」の外に出ることは単純といえば単純なことであり、私たち個々の孤独はいくばくか常に「人間」の外に出ている。そこに発見する私たち自身とは何か、そこに「真理」があるとすれば何か。
 おそらく、退屈といえば退屈なことである。つまり、私たちは生と死の窮迫のはざまにあって、死んでいく、崩壊していくという端的な事実であり、私たちは本質的に「敗軍の敗走者」であるしかない者として自身の「真理」を発見するのだ。
 近代社会は人間が自分自身の影をぴったり覆うようにして形成された体制であり、仮に、社会の外、その崩壊の外にしか「真理」の空間は開かれないとすれば、近代社会において「真理」は人間が人間から外れ、その外に出て行くことにおいてしか有り得ない。近代の思想、文学、芸術といった営みは、この《外》において形成されてきたのである。
 本講演では、現在刊行準備中の仕事から、先ず大岡昇平における「敗走」を中心に、「戦後日本における生と真理」について論じる。さらに、これを戦後文学に限るものではなく、人間の《外》として存在する営み全般へと議論を展開し、検討をすることを目指す。

講演者紹介
丹生谷貴志(NIBUYA Takashi)
1954年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科西洋美術史修了。現在、神戸市外国語大学教授。著書に『死者の挨拶で夜がはじまる』、『家事と城砦』(河出書房新社)、『ドゥルーズ・映画・フーコー』、『三島由紀夫とフーコー〈不在〉の思考』(青土社)など。近刊予定に、ジャン・ルイ・シェフェール『映画を見に行く普通の男 映画の夜と戦争』(現代思潮新社、翻訳)、『敗走者たちの生と真理』(青土社、仮題)、などがある。

講演の後に小林康夫拠点リーダーとの対話を予定しております。

ポスターをダウンロード
110704_nibuya_400.jpg


« 前へ  |  次へ »
  • HOME>
    • Events>
      • UTCPレクチャー「戦後日本における生と真理」
↑ページの先頭へ