Title: | 【関連イベント】文化政治研究会第1回ワークショップ「接続の政治学」終了しました |
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Date: | 2011年7月3日(日)13:00-17:00 |
Place: | 大妻女子大学千代田キャンパス大学校舎A棟264教室[地図] |
講演者:
木下ちがや「3・11をめぐる社会と国家」
早尾貴紀「国家に棄てられる民、国家を棄てる民」
山口智美「原発推進派の「思い」を聴く―上関原発建設とコミュニティの分断―」
コメンテーター:佐藤泉、中谷いずみ
司会:高榮蘭
開催趣旨:
多数の被害者を生んだ3月11日の東日本大震災は、言葉にならないほどの悲しみと痛みを人々にもたらした。そしてその傷が癒える間もなく、東京電力による原発事故が降りかかり、現在も人々の生を脅かしている。
収束の目処が立たない今回の事故は、その対応をめぐる政治や制度の問題はもちろんのこと、抵抗をめぐる主体と運動の形成、沈黙を含む言説の政治性と世論の動向など、種々の問題を浮き彫りにすることとなった。
こうした事態を踏まえ、本ワークショップでは、分野や立場の異なる3人の研究者に報告をお願いする。それぞれの個別的かつ具体的な報告が、事故後の情勢をどのように照射するのか。そしてその照射された局所的な事態が、議論の中でどのような乱反射を引き起こし、更なる問題を可視化するのか。こうした多面的アプローチによって、現在も進行している事態への介入を試みる。
登壇者の紹介:
木下ちがや
専門は政治学(日本とアメリカ)。今回の大震災と原発災害をめぐる政治過程が、近年の日本社会の再編と連動しながらすすんでいることに目を凝らしています。日本とニューヨークの友人たちとともに立ち上げた、日本の状況を海外に発信するために立ち上げたサイトJapan Fissures in the planetary apparatus http://jfissures.wordpress.com/に書いています。
早尾貴紀
原発震災で7歳の子どもを連れて関西避難生活をし、その後も子どもだけで疎開させた被災者。福島県郡山市生まれ、仙台在住時に東日本大震災に遭う。自らの避難後、福島・宮城などからの自主避難を支援している。「原発大震災、孤立都市仙台脱出記」(『現代思想』)、「内部被曝と植民地主義」(『インパクション』)など。専門は、社会思想史、パレスチナ/イスラエル問題。
山口智美
文化人類学や日本研究の授業の中で核兵器や原子力に関する問題を扱うかたわら、地元のモンタナ州ボーズマン市において、2008年秋に開催された全米原爆展の企画者となった。原爆写真展、映画シリーズや被爆者によるトークセッションなどを行ったが、 熱心に支援してくれた市民が多くいた傍らで、かなりの反発も受けることとなった。現在は日本の保守市民運動において調査研究をすすめており、核兵器や原子力の問題に関しても保守系の運動家にインタビュー調査をすすめている。
佐藤泉
専門は近現代の日本文学、戦後の批評史。震災以降、あらためてこの観点からの「戦後」見直しを迫られているものと切に感じています。石炭から石油、石油から原子力へ、そのたび膨大な犠牲者を地底にとりのこしながら「成長」してきた私たちは、いまその切り立った崖にたってどんな言葉を作り出せるのか、それを考えたいと思います。
中谷いずみ
専門は日本近代文学と国語教育。1930年代~1950年代におけるメディア言説の分析を通して、「民衆」や「大衆」の表象がどのような文脈で、どのように立ち上げられていくかを追っている。
運動体に関しては、特に1950年代の生活綴方運動や反戦平和運動に注目し、子どもや女性の文章が価値付けられていくさまを追うことで、子どもや女性が語る際の言説様式と運動の戦略性、運動内における力学やカテゴライズの問題について考えている。