Title: | UTCP日本思想セミナー「倫理に向けた哲学の再定義:西田幾多郎と牟宗三」林永強氏(香港教育学院)、および「現象学的倫理学:西田幾多郎とマックス・シェーラー」張政遠氏(香港中文大学)終了しました |
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Date: | 2010年7月29日(木) 10:00- |
Place: | 東京大学駒場キャンパス101号館2階研修室 |
UTCP日本思想セミナー
香港の若手哲学研究者による連続講演会
1. 林永強氏(香港教育学院)
『倫理に向けた哲学の再定義:西田幾多郎と牟宗三』
(原題"Redefining philosophy in ethics: Nishida Kitarō and Mou Zong-san")
西田幾多郎と牟宗三にとって、倫理とは主たるアジェンダの一つであり、そこにおいて彼らにとっての「哲学」の再定義が問題とされていた。より具体的にいえば、それは「生命という問題」と「生命の研究」という二つの要素の緊密な結びつきを思考することでもあった。 倫理というものが両者の哲学体系の中にどのように書き込まれているのかを考えてみると、倫理とは実際のところ両者にとって、単なる哲学的なアジェンダにとどまるものでもなければ、哲学研究者にとっての哲学的なもうひとつの主題にとどまるものでもなかったことがわかる。倫理とは両者にとって、主体に対する根源的な挑戦にほかならない。つまり今回の発表は、東洋と西洋とにまたがる「対外的な inter-」哲学的対話の傍らで、とりわけ日本と中国との東洋「内部 intra-」における哲学的な対話を推し進めてみる試みでもある。
2. 張政遠氏(香港中文大学)
「現象学的倫理学:西田幾多郎とマックス・シェーラー」
(原題"Phenomenological ethics: Nishida Kitaro and Max Scheler")
西田の思考のなかで、倫理はもっとも重要なテーマの一つをなす。西田は『善の研究』のなかで倫理についてのいくつかの理論を提示し、自身の倫理学を展開しようと試みている。また、後期の著作において、西田は善悪の区別を乗り越えようと試みるにいたる。西田が規範的倫理の可能性を探求していたのかという問いはまだ手つかずのままだが、彼の倫理においては他者の倫理というきわめて重要な問題提起がなされている。今回の発表においては、マックス・シェーラーの洞察を援用しつつ、西田の現象学的倫理学について考えてみたい。
日時:2010年7月29日(木) 10:00開始
場所:東京大学駒場キャンパス101号館2階研修室
使用言語:英語
入場無料・事前登録不要
主催:東京大学グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」(UTCP)