Title: | 国際シンポジウム「共生のための中国哲学――台湾研究者との対話」終了しました |
|||
Date: | 2008年7月12日(土) 10:00-18:00 |
Place: | 東京大学駒場キャンパス18号館4階 コラボレーションルーム1 [地図] |
趣旨
台湾大学哲学系を中心とした第一線の研究者をお迎えし、UTCPとのシンポジウムを行う。UTCPの根本テーマは共生のための条件を哲学的に思考することである。そのテーマをこのシンポジウムにおいては、台湾における哲学研究とりわけ中国哲学研究の最も先鋭的な思考との対話を通じて深めていきたい。
具体的には、四つのセクションを設けて、それぞれのプロブレマティークに沿った論争を各自が取り上げ、それを共有しながら議論を行う。
1. 共生のための文学空間
現代における文学空間の可能性を、中国を含めた東アジアの文脈から考える。「批評」概念の再検討を通じて、差異としての文学空間を共生の地平に解放したい。
2. 心の哲学と道徳性
中国哲学において「心」は最も広く論じられた概念であり、その上に道徳性をどう基礎づければよいかについては激しく争われてきた。一方、現代の心の哲学においても、「心」概念や道徳性については繰り返し問い直されている。その両者の歴史の中から、いくつかの論争を取り上げながら、中国哲学と現代の心の哲学の間の対話を試みる。
3. 宗教と世俗化
中国哲学において「宗教」という近代的な概念が取り入れられた際に、佛教・儒教・道教といった伝統的な思考がはたして宗教かどうかが争われた。それと同時に、中国社会が世俗的であるかどうかについても議論がなされた。ここでは佛教を中心に、その宗教性と社会性について再考しながら、近代における佛教理解を批判的に再検討したい。
4. 中国哲学の「時代」
中国哲学から見て、現代とは如何なる時代であるかを考える。そのために、中国哲学が「時代」という概念をどのように考察してきたのかについて、いくつかのモデルケースを提示し、それらの今日的な可能性について討議する。
使用言語:中国語(通訳あり) 入場無料、事前登録不要
スケジュール
10:00 開場
10:10-10:40 基調講演 小林康夫(UTCP)「法を問う――門の前にて」
10:50-12:20 共生のための文学空間
モデレーター 石井剛(東京大学)
・佐藤将之Masayuki Sato(台湾大学哲学系助理教授):
「言語は人民を動かさない」:中国古代政治思想における非言語的基調
・鄭毓瑜Yu-yu Cheng(台湾大学中文系教授):
舊詩語的地理尺度--以黃遵憲日本雜事詩的典故運用為例
古い詩語における地理的尺度:黄遵憲の『日本雑事詩』における典拠の運用を例として
・喬志航(UTCP):
歴史的視点的困境―王国維的文学観与歴史
歴史的視点のジレンマ―王国維の文学観と歴史
12:20-13:30 昼食休憩
13:30-14:30 心の哲学と道徳性
モデレーター 信原幸弘(UTCP)
・杜保瑞Bau-Ruei Duh(台湾大学哲学系副教授):
心統性情與心即理的心學宗旨 心学における「心統性情」と「心即理」の宗旨
・中澤栄輔(UTCP):道徳と脳神経科学
14:30-16:00 宗教と世俗化
モデレーター 村田雄二郎(東京大学)
・曾漢塘Hann-Tong Tzeng(台湾大学哲学系副教授兼主任):
台湾宗教現象的若干観察與省思 台湾の宗教現象への省察
・蔡耀明Yao-Ming Tsai(台湾大学哲学系副教授):
生命之目的與生命之意義的佛教哲學解析 仏教哲学による生命の目的と意義に対する解析
・後藤絵美(東京大学):現代エジプトにおける「世俗」と宗教
16:00-16:20 休憩
16:20-17:20 中国哲学の「時代」
モデレーター 王前(東京外国語大学)
・林義正Yih-Jing Lin(台湾大学哲学系教授):
文化治療思維芻議 文化治療思惟に対する考察
・黃冠閔Kuang-min Huang(中央研究院中國文哲所助研究員):
在曲折中來回的哲學反思:一種地域哲學的處境
曲折しつつ往来する哲学的反省:地域哲学が抱える一種の状況
17:20-17:50 閉会の辞(台湾大学)
⇒[報告]
⇒ポスター