Title: | 第82回公共哲学京都フォーラム「女性が開く公共世界」終了しました |
|||
Date: | 2008年3月1日(土)、2日(日)、3日(月) |
Place: | 神戸ポートピアホテル(※一般参加不可) |
第82回公共哲学京都フォーラム「女性が開く公共世界」
(共催:東京大学・グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」)
※一般参加不可
⇒[報告]
主旨
「東アジア女性哲学ネットワーク」は、二年前から活動を始めました。現在のところ、韓国、中国、台湾、香港、日本を含むメンバーで構成された小規模の哲学ネットワークです。その主旨は、哲学において「東アジアの女性たちの声」を挙げようということでした。
現代哲学においては、ジュディス・バトラーなど女性哲学者たちの声が高まってきているというだけでなく、「近代の他者たち」の声や、異なる身体経験や歴史経験をもとにして思想を語る声という意味でも、「女性たちの声」feminine voiceが重要になってきています。
しかしまず問題となったのは、いったい「東アジアの女性たち」という立場が哲学において必要なのか、 そして、それは可能な立場なのかということでした。
東アジアは、長い交流の歴史をもち共通の文化的伝統がありながらも、現代史においては分断の場でした。近代化は内発的な発展ではなく、「強制」と「強制の模倣」による植民地化として進展したプロセスでした。したがって、アジアにおいて哲学を語るとは、近代の他者として語ることであり、他ならぬ「女性たちの声」で語ることだったのです。なによりも抵抗するために、告発するために語ることに、哲学の役割があったように思われます。
「東アジア女性哲学ネットワーク」も、2006年東京大学・駒場キャンパスで行われた第一回会議において「近代化の暴力とジェンダー」という問題に取り組み、「西洋化」と「日本的近代化」という「二重の近代化」がもたらした結果について語り合いました。その結果とは、みずからの規範文化の喪失であり、アイデンティティの分断であり、「二等国民」の創造でした。そしてそれらの歴史的経験が、現代の我々の問題でもあることが確認されたのです。「東アジアの女性たちの声」は、まずは、このような抗議・告発の声として力強く響いたのです。しかし「告発の声」は大きければ大きいほど、逆に、抑圧権力の構造に取り込まれてしまうという逆説的性格を持っています。
「東アジア女性哲学ネットワーク」は、「抑圧する暴力」対「告発する暴力」という連鎖を乗り越え、より構築的な思想形成をめざしてさらに対話を続けていくことを決意したのです。この決意を可能にしたのは、それぞれの文化的伝統には「正義」と「公正」についての基本的な感性があり、東アジアにおいてもその現代的かつ哲学的な言説化が必要であるという認識でした。今回は、東アジアと北米との視点のもとに、公共哲学としてのグローバル・フェミニズムをめざし、「伝統」概念の見直しを試みます。
第八十二回公共哲学京都フォーラム ─女性が開く公共世界─
日時: 2008年3月1日(土)、2日(日)、3日(月)
場所: 神戸ポートピアホテル
共催:東京大学・グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター」
3月1日(土)
9:00- 9:05 開会挨拶 矢崎勝彦(京都フォーラム事務局長)
9:05- 9:20 京都フォーラム活動紹介映像上映
9:20- 9:50 趣旨説明 「今、何故東アジアの女性が開く公共世界なのか」金泰昌(公共哲学共働研究所長)
9:50-13:00 発題&討論 コーディネーター:山脇直司(東京大学大学院総合文化研究科教授)
9:50-10:20 発題1.「東アジアのフェミニズム:被害の分断から公共の世界へ向けて」北川東子(東京大学大学院総合文化研究科教授)
10:20-11:20 討論
10分休憩
11:30-12:00 発題2.「儒教的伝統における公と私:グローバル・フェミニズムと公共哲学に対するその意味」エヴァ・マン(香港浸会大学教授)
12:00-13:00 討論
13:00-14:00 昼食・休憩
14:00-15:20 発題&討論 コーディネーター:山脇直司
14:00-14:30 発題3. 「両替される女性像 -日韓の紙幣と『樋口一葉』『申師任堂』の表象をめぐって」高榮蘭(東京大学・グローバルCOE・UTCP研究員)
14:30-15:30 討論
10分休憩
15:40-18:00 総合討論 コーディネーター:北川東子
3月2日(日)
9:00-12:10 発題&討論 コーディネーター:北川東子
9:00 - 9:30 発題4.「交差性の重要性:グローバル・フェミニズムの方法とは?」アン・ギャリー(カリフォルニア州立大学教授)
9:30 -10:30 討論
10分休憩
10:40-11:10 発題5.「変化する中国の性道徳:その動向を批判的に見る」翟振明(ザイ・ツゥンミン)(中国・中山大学哲学系教授)
11:10-12:10 討論
12:10-13:10 昼食・休憩
13:10-14:40 発題&討論 コーディネーター:北川東子
13:10-13:40 発題6.「伝統の魔法:フェミニズム的視点はアジアの伝統を再創造できるのだろうか?」陳昭如(チュン・チャオルゥ)(国立台湾大学法律学院専任助理教授)
13:40-14:40 討論
10分休憩 コーヒーブレイク
14:50-15:20 発題7.「美術の公共性と女性の表象」 パク・ソヒョン(東京大学人文社会系文化資源研究専攻)
15:20-16:20 討論
10分休憩
16:30-18:00 総合討論 コーディネーター:金泰昌
3月3日(月)
9:00-10:30 発題&討論 コーディネーター: 稲垣久和(東京基督教大学教授)
9:00 - 9:30 発題8.「文化の権利と情勢たちの権利:東アジアにおいては、伝統とフェミニズムをどう考えるべきか」金恵淑(キム・ヒェスック)(韓国・梨花女子大学哲学科教授)
9:30 -10:30 討論
10分休憩 コーヒーブレイク
10:40-11:10 発題9.「会話の場としての公共圏の可能性:『素人』と『女性』にとっての『排除』問題を考える」水谷雅彦(京都大学大学院文学研究科教授)
11:10-12:10 討論
12:00-13:00 昼食・休憩
13:00-15:00 発展協議 1 コーディネーター:金泰昌
10分休憩
15:10-18:00 発展協議 2 コーディネーター:金泰昌