破急風光帖

 

★ 日日行行 (34)

2016.04.21

 サルターさんやクレマンさんらの講演を聴く前の16日の土曜ですが、じつはこの日が、わたしにとっては今月の特異日でした。

 朝の11時から、毎度のことながら、本郷キャンパスでEMPの講義。今回は、大池さんが訳したセンプルンの『人間という仕事(メチエ)』をテクストに指定して、そこに見られる「ヨーロッパ』のパッション、つまり「民主的理性」というパッションをどう評価するか、という問いに取り組みました。エグゼクティヴな受講生のみなさんがちゃんと読み通してきて、本質を掴んでいるのが嬉しかったですが、なかなか鋭い質問も出て、こちらも緊張感がありました。
 その後、駆け足で、NHKに行って、これも毎度ながら、「クール・ジャパン」の収録。今回は、「美容」がテーマでした。終ったのが5時すぎ。
 で、その晩が、よく働いたご褒美みたい、サントリーホールで、わたしの大好きなピアニストマウリツィオ・ポリーニの演奏会。はじめに、先日亡くなったピエール・ブーレーズ(わたしも学生時代にコレージュ・ド・フランスでかれの講義を聴きました)を追悼して、シェーンベルクの「6つのピアノ小品」。その後、シューマンの「アレグロ」、「幻想曲」ときて、後半は、ショパン。「舟歌」から「ノクターン」、ポロネーズ「英雄」。どれも素晴らしいが、さらにアンコールがすごかった。「革命』エチュードにスケルツォ、締めが「ノクターン」のo.p.48だったか。いや、陶然となりましたね。05年くらいから、かれの来日の度ごとに聴いていますが、こうやってずっと聴いてきた演奏家がいるというのは、幸福なことだと感無量でした。(いま、この場で、これが聴くことができて幸福、とほんとうに思わせてくれるコンサートって、そんなにないものなので)。


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