破急風光帖

 

★  日日行行  (107)

2017.08.30

* ひと月ぶりにブログを再開します。8月の終りになって、少し夏らしい空がもどってきましたが、今年の夏は夏らしくありませんでした。地球の気候全体がカオス的な状態を呈していて、これではいつ、どんなカタストロフィー的変動が勃発するのか、もう誰にもわからない、不透明な時代です。世界の政治状況も同様。「人類」が大きな変動期に突入していることは確かだと思われます。

 この向かいあえない「危機」にそれでも向かい合おうとするのが、最低限、「知性」の使命だと思うのですが、それをどう行うか、カオスであるだけに、当然ながら、定まった解はありません。しかし、解をもとめるのではなく、カオスをカオスとして受けとめることがまずは重要。眼をそむけないということ。だが、そのためには、どうしても自分という確立したフィールドから、外へと自分自身が一歩を踏み出さなければならない。でも、不安というより、保証がないのだから、自信がない。これでいいのか、こんなことをして意味があるのか、そういう懐疑がついてまわります。そんなことをじくじくと考えていたこのひと月ということになるでしょうかね。
 ひと月の逡巡の結論は、だめでも、行けるところまで行ってみるしかないかなあ、とありふれたものでした。長年の宿題であった『絵画の冒険』を上梓して1年、少し緊張感を失っていたけれど、やはり最終講義のときにも予告した数年越しの課題を、放棄しないで、やってみるか。どのくらいかかるのか、わからないし、ほんと「意味」があるのかどうか自信もないのですけれど。そんなことはたいしたことではない。いつもそうだったし。ほかにもいろいろ仕事はあるから、また時間がかかってしまうかもしれませんが、全体像がまったくつかめていないこの仕事、これから1、2年のあいだには、形が見えてきたらいいなあ。夏の終りの小さな願いです。
 


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