破急風光帖

 

★ 日日行行 (69)

2016.12.17

* 前回のブログで医学部の尾藤先生の研究室に行く、と書きましたが、医学部3号館の研究室でその夜、2時間にわたる神経化学研究の最先端のお話をうかがいました。

 脳科学がいまどこまで来ているか、これは、人間について学ぼうとする人文科学者とりわけフィロソフィアの徒は真剣に受けとめなければなりません。講義のあいだ何度も、わたし自身が「すごいね」と感嘆の声をあげていたことをあとでいっしょに行った院生・助教から指摘されましたが、わたしとしては、脳の解明がここまで来ているということにあらためて強い刺激を受けました。
 それもあって、翌日、また本郷でEMPの哲学の講義をしなければならなかったのですが、そこでも尾藤さんの講義の影響が反映されて、脳を多様な次元を含む、しかし機械ではなく、「間違える」、ということは「時間」を生み出す、自由をあらかじめ備えている場として考えるような方向を少し打ち出したりしました。
 その朝、じつは「カタログ・レゾネの夢」というおかしな夢(パワポをつかって講義をしているのだけど、誰もわたしの言うことを聞いてくれないというもの)を見ていたのですが、どうもそのような「レゾネ」raisonné の方向にわたしの思考は向おうとしているのかもしれません。夢の続きように、その朝、そのまま20世紀における大陸系哲学の展開をまとめるカタログ的な「行列」を思いついたりして、午後の講義のときにちょっと話してみたりしました。ともかく、火曜日の討議からはじまって、今週は「脳」を中心にして頭が回転していた週ではありましたね。
 で、週末の今日は、少しはわたしの脳も休めるかと思いきや、11年前のはじめからときどきコメンテーターとして出演しているNHK・BSの番組「クール・ジャパン」の収録。テーマは「家具」でしたが、それなりに発見もあって、楽しく仕事をしました。これで、今年は来週の青学の授業とラボと論文指導を残すのみ。なんとか乗り切れたかな、と安堵の息をついているところです。
 夏、秋に続いて、「冬のfragment 」でも書き出すことができるといいのですが・・・・?!


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