破急風光帖

 

★ 日日行行 (41)

2016.06.06

今日は、竹橋の東京国立近代美術館で、「全身詩人 吉増剛造展 声ノマ」のオープニングの会でした。

じつは、ちょうど「未来」誌の連載原稿、オペラ戦後文化論Ⅱで、吉増さんの1970年の詩集「黄金詩篇」をめぐって原稿を書きはじめたところ。どういうめぐりあわせか、書いている対象の方にそのままお目にかかるという不思議な体験でした。
 展覧会は、ノート、原稿、銅版、映像、カセット、写真、図版など多彩な作品が展示されていて圧倒されます。生涯かけて、身体に「字=声」を彫りこむように書きつづけてきたということがよくわかります。なんという持続力。あらためて感動しました。
 一方、先週は、大阪での仕事の昼休みに、タクシーにとびのって、国立国際美術館で、森村泰昌さんのこれも、圧倒的な展覧会を駆け足で観てきたところ。
 いや、孤独のなかでひとつのことを徹底してやり続けていくことで、はじめてそれが途方もない多様な豊かさを生むということを実感します。それにくらべれば、わたしがやってきたことなんて、大学という場にまもられた仕事にすぎず、中途半端ですね。まあ、これからの心積もりではありますが。日日行行、それに尽きるはず。
 と、帰ってきて、あの「下北沢不吉!」の「黄金詩篇」と向かいあっています。


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