破急風光帖

 

★ 日日行行 (21)

2016.02.09

 毎日、朝起きると机の向こうの窓越し遠く、富士山が見えるかどうか、確認するのですが、今朝は、微かに見えるけれど、雲ではなく、ぼんやり霞がかかって、この風光は春の特徴。まだ寒いけれど日増しに春になるのが感じられます。

 前回、形式のことを書きましたが、その問題を考えていて、最近、手にとるのが、二年前に本人から挿絵入りでいただいたValère Novarina の[Observez les logaèdres!」(なんと訳したらいいのか、「言語多面体を観測せよ!」ですかね?)。1から346までの短い断章からなるテクストです。焦点はある種の超越性への取り組み。これとは少し違うが、Pascal Quignard の「Vie secrète」(「秘められた生」、これは小川美登里さんのすばらしい訳が水声社から出ています)もその53章の構成がおもしろい。形式という問題を考えていくと、わたしの場合は、やはりフランス系の作品が参考になるというのが興味深いですね。なんとなく、二つの作品のあいだの、197くらいの断片で、自分にとっての「秘められた生」の言語多面体をつくってみたいですね。
 (今回のサムネールは、先週のパーティで村松真理子さんからいただいた香しいピンクの薔薇の写真です)。


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