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Title:

『夢判断』(1900年)における局所論のプロブレマティク

終了しました
Date:
2007年11月9日(金) 11:00~
Place:
東京大学駒場キャンパス101号館2階研修室 [地図]

◆発表者: 日本学術振興会特別研究員 佐藤朋子
◆コメンテーター: 原和之+小林康夫

◆要旨: 

 フロイトは『夢判断』の第2から第6までの諸章(第1章は文献紹介)において、夢という心的な生の一つのあり方を分析し、その材料や源泉、材料の加工様態を明らかにする。最終第7章「夢事象の心理学」では、局所論と一般に呼ばれる言説にとりわけ依拠しながら、それまでに行った分析の結果を今度は総合的に表現しようとする。そしてその試みを通じて、夢みる人間の心の仕組みを、意識、前意識、無意識の3つのシステムからなる一つの装置として記述するにいたる。ところが、そのような心理学的言説の展開をほぼ終えた地点で、フロイトは、それまでの取り組みの意味にニュアンスをもたらす留保を記す。「夢願望はつねに無意識に由来するという仮説を立てることで、私は、証明可能なところから一歩すでに踏み出していたのである」。その留保によっては、夢願望、すなわち夢として実現ないし充足する願望が無意識以外のところに由来する可能性が、したがって、その願望が由来する「場所」という問題が、完全には閉ざされないまま残されることになる。

 以上に述べた状況を念頭におきながら、本発表では次のように議論を進めたいと考えている。まず、夢をめぐる19世紀の科学的言説という文脈や「夢理論」のフロイト的な語義、フロイトの主要テーゼの一、二など、『夢判断』という書物の歴史的位置づけや基本的特徴を理解する上で重要と思われるいくつかの情報を導入として提供する。ついで、『夢判断』執筆に先行する時期に友人フリースに宛てて記された書簡を資料にしつつ、「幼児的願望」と「睡眠願望」という、フロイトの願望充足理論の支柱をなす2つの観念が錬成されてゆく過程について精確な理解をはかる。そののち『夢判断』第7章C節「願望充足について」に焦点をあて、「夢は願望充足である」という中心テーゼと局所論的な諸命題の総体とが、フロイトの夢理論においてどのように分節化されているかを検討する。最後に上述の「留保」に立ち戻り、それまでに行った考察とともに出席者との対話も利用しながら、その留保によって開かれる諸問題の布置を粗描する試みに取り組むことにしたい。


主要参考文献:

FREUD, Sigmund (1942 [1900]), » Die Traumdeutung «, Gesammelte Werke II-III, Frankfurt am Main, S. Fischer (「夢判断」高橋義孝訳『フロイト著作集』2,人文書院,1968年).
—— (1986 [1887-1904]), Briefe an Wilhelm Fließ 1887-1904. Ungekürzte Ausgabe, (Hrsg. MASSON, Jeffry Moussaieff, deutsche Fass., SCHRÖTER, Michael), Frankfurt am Main, S. Fischer(『フロイト フリースへの手紙』河田晃訳,誠信書房,2001年).
—— (1987 [1895]), » Entwurf einer Psychologie «, Gesammelte Werke Nachtragsband, Frankfurt am Main, S. Fischer Verlag (「科学的心理学草稿」小此木圭吾訳,『フロイト著作集』7,人文書院,1974年).


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