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UTCPイスラーム理解講座第1回 全人間的宗教としてのイスラーム

2007.10.27 イスラーム理解講座

10月25日、鎌田繁教授をお招きしてUTCPイスラーム理解講座第1回「全人間的宗教としてのイスラーム」が行われました。鎌田教授は、シーア派の神秘思想を中心にイスラーム思想の研究を専門としています。

→[講義レジュメ](PDF)
→[講義配布資料](PDF)

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 鎌田教授は、まず初めに一神教と多神教の区別について説明された後、「イスラーム」の意味が「従うこと」・「帰依すること」であること、また、イスラームの特徴の一つとして、人間の活動全体をイスラームによって意味づける包摂性を指摘されました。そして、神の言葉の集成がクルアーンであり、クルアーンの言葉をどう解釈し、何を神の意志とするかによって、多様なイスラーム理解が生まれることを、いくつかの事例を挙げて説明されました。
 鎌田教授は、冒頭、イスラームについて知識を持っていない者を対象にすることを述べられましたが、他の専門分野の者にとっても理解しやすい内容であり、次回以降の講座の基礎となるものになりました。

☆ イスラーム理解講座(無・媒介の「信」)

 イスラーム理解講座がはじまった。第1回に登場願ったのは、東洋文化研究所の鎌田先生。ほんとうはUTCPの事業推進担当者として加わっていただく予定だったのが、諸般の事情で正規には加わっていない形になっているが、強力な共同研究者。グローバルCOEのヒアリング等で今後の「共生」には不可欠のイスラーム理解をUTCPの事業のなかに組み込むことを約束したので、それが軌道にのるのはうれしい。
 第1回ということもあって、丁寧に基礎から説明してくださった鎌田さんのお話を聞きながら、イスラーム世界と自分の思考が少し接触するところが見えて興味深かった。さまざまな質疑が飛び交ったが、わたし個人としては、たとえばキリスト教の核心にある(ともいえる)罪としての人間存在という本質論(それに対する「愛」と「復活」の哲学、と言っておこう)に対応するようなイスラーム的人間理解の核はなにか、とお訊ねしたのに、「そういうことはごちゃごちゃ考えない」、イスラームはきわめてシンプルな人間理解なのだ、というお答えが、なるほどと奇妙にねじれた仕方で腑に落ちる。物語ではなく、命法あるいは詩によって組織されているクルアーンの言説の特異性もあって、まだまだ理解の入り口に立っただけだが、鎌田さんのお薦めに従って今度は、クルアーンを「後から」読んでみようと思っている。
 次回は、羽田先生。その次の12月はシンガポールからクロウ先生をお招きしている。多数の参加を今後もよろしくお願いしたい。(小林康夫)

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