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Title:

詩人の想像力と歴史哲学――ディルタイにおける力の概念

終了しました
Date:
2008年11月5日(水)16:20-17:50
Place:
東京大学駒場キャンパス 8号館323教室 [地図

発表者: 森田團(UTCP)

※どなたでも参加可能です。
※使用言語:日本語 入場無料、事前登録不要

【趣旨】

歴史認識の対象が過去の出来事であるかぎり、それは二度と現在に回帰するようなものではない。したがって、その認識は本質的に想起の形式をとると言うことができよう。想起は反復できないものを現前化し、再生することができるからである。ディルタイ自身、歴史は想起であると述べているが、そのとき念頭に置かれているのは以上のような論理にほかならない。想起が行う再生の秘密は、彼によれば、その根柢において働いている想像力にある。このような観点から見れば、「詩人の想像力――詩学への寄与」(1887)は、歴史認識が孕み持つ秘密への注釈とみなしうることになろう。発表では、諸々のイメージを生き生きとした統一体に纏め上げる能力としての想像力が、内(たとえば内的知覚)と外(たとえば外的知覚)の統一に関わるという「詩人の想像力」におけるディルタイの議論を追い、この想像力の作用を、とりわけ『精神科学における歴史的世界の構成』(全集版 1927)における諸論文において展開される歴史認識の理論うちにも読み取れることを示す。歴史認識は一連の経過や出来事の連鎖を包括する歴史像の獲得を目指すが、そのためには内(記憶)と外(歴史的事実)を統一する想像力の働きがやはり必要なのである。さらに、この統一の働きが根源的には力の「充溢 Fülle」に発すること、またそれこそが生にほかならないことを明らかにしたうえで、最終的には力としての生と想像力との根源的連繋を浮かび上がらせることを試みたい。

(中期教育プログラム「時代と無意識」+短期教育プログラム「歴史哲学の起源――コスモロジーとエスカトロジー」共通イヴェント)

【報告】


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