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【報告】Inside Out~世界を変える視点

2017.04.25 梶谷真司, 八幡さくら, 稲原美苗, Philosophy for Everyone

2017年3月18日(土)東京大学駒場キャンパスKOMCEE West 303教室において「Inside Out~世界を変える視点」が開催された。

イベント当日は様々な年齢や性別、職業の参加者が約40名集まった。まず村木真紀氏(虹色ダイバーシティ)が自らの人生や経歴、虹色ダイバーシティの活動について紹介しながら、LGBTの社会的困難について説明した。

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村木氏は社会に存在するLGBTやその他の差別に関わる様々な対比を取り上げ、その対比に対して疑問を呈した。例えば、違う/同じ、少数/多数、病、障害/健常、女性/男性、変態/健全、Out/Closet、被害/加害、傍流/主流などを挙げ、このような二分化する社会の見方や動きが妥当なのかと村木氏は参加者に問い、私達がみな両方の立場になりうる可能性を指摘した。最後に、キース・へリングの絵画を示しながら、アートが社会の中のLGBTや差別の問題に新しい解決を示す可能性があるのではないかと問題提起した。

続くライラ・カセム氏(グラフィックデザイナー)は、グラフィック・デザインがそれを見て人に何かをわからせる言語を作ることだと定義した。

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カセム氏はイギリスで行われている障がい者とアートを繋げる試みを紹介し、それと対比して日本の障がい者アートの問題点を指摘した。カセム氏は自身が関わっている障がい福祉施設「綾瀬ひまわり園」での活動や作品を写真と共に紹介しながら、障がい者が作品を作るためのメソッド開発や、スタッフ・デザイナー・障がい者の協力関係の必要性について説明した。カセム氏は自身の経験を通して、自分と異なる人を理解しようとするのではなく、異なるということを楽しみ、共にいる空間を作ることで、異なるなにかを自分に取り込んでいくというプロセスが重要であると主張した。

二人の発表を受けて、梶谷真司氏が今回のイベントの企画の主旨について説明した。

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LGBTや障がい者の問題においてどこで線引きをするのかが問題になっている。しかし、その線の引き方によっては全く違った世界が見えてくるし、線引き自体が本当に正しいのかを問うことが必要だと梶谷氏は参加者に問いかけた。梶谷氏は自身が関わっている学校での哲学対話の活動を紹介しながら、学校という場において線引きされることで排除されている人々がいるという現状を指摘した。学校だけでなく、様々な地域や社会において同様の問題があると梶谷氏は述べ、線引きによって区別・差別がなされている現状や、こうした線引きがなぜ起きるのかと参加者に問題提起した。

イベントの後半では、参加者が約10人ずつの4つのグループを作ってワークショップを行った。こうした線引きは正しいのか?なぜこうした線引きが起こるのか?といった問題について、グループごとに話し合ってもらい、模造紙に出てきた線引きの事例や問題点を様々な色のペンを使って図や言葉で描いてもらった。

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参加者たちは一人一人自身の経験と照らし合わせながら、LGBTや線引き問題について疑問に感じている点を語り、それを図に描いていった。グループごとの話し合いは非常に盛り上がり、男/女、多様性/平等、平和と戦争、大人/子供、強欲/献身など様々な事例が挙げられた。話し合いの後、グループごとに内容を発表してもらい、それぞれのグループごとの個性あふれる興味深い事例が説明された。LGBTと障がい者が抱えている問題の類似性についても議論された。

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話し合いが進むにつれて、線引きされた両者は実は分離不可能なものであり、線が移動しうることや、または実は線そのものが無い可能性が指摘された。今回のイベントは、子どもから大人まで様々な人々が集まり、終始楽しく活発な意見交換が行われた。この会を通して、参加者が各々の視点を照らし合わせることで自分とは異なる視点に気付き、新しい世界を見出すきっかけになったはずである。

文責:八幡さくら(UTCP)

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