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時の彩り(つれづれ、草) 132

2011.04.01 小林康夫

新年度スタート

新年度がスタートしました。櫻がほころびはじめた駒場キャンパスにもたくさんの新入生が手続きのためにやってきています。

こうした循環する時間、円環の時間のありがたさがこれほど身に沁むこともありませんでした。巨大な破壊のさなかにあってなお、回帰する時間!――そのような「時間」の忘却の上に成立していたテクノロジーの線形的な時間の脆弱というような問題系を考えないわけにはいきません。

UTCPは3月29日に「まとめの会」を行って、昨年度の活動にひとつの区切りをつけました。もともとは昨年のイスラエルの旅を中心にした内容の予定でしたが、今回の震災を受けて内容を変更し、わたしが先日レンヌで行った「歴史の終わり」についての講演の紹介を冒頭に、以後、それぞれがこのdisasterの経験を語りつつ、それに応じた思考の責務を考える場となりました。また同時に、今日、4月1日から新しい場所で働くことになる研究員の方々を送り出す「卒業式」の意味もありました。「区切り(中間休止)」を刻むことは、ドラマにとって重要です。悲劇のただなかで、しかし思考の共有による区切りを刻むこと、それがわたしの意図でありました。

グローバルCOEも今年度は最終年度。UTCPとして行ってきた活動が来年度以降、どのような組織によって引き継がれるのか、まだまだ不透明ですが、われわれとしては、これからの1年これまでの活動を総括し、未来を準備する仕事をしたいと思っています。

この震災はもちろん招聘などにも大きく影響します。予定していたイベントもいくつかキャンセルになり、今年の活動は少なくとも前半は組み立てを考え直さなければならないと思います。時間をかけて議論して方針を決めたいと思っています。

ますます「厳しい時」、みなさま、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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