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時の彩り(つれづれ、草) 101

2010.04.08 小林康夫

櫻も散って
新年度・新学期がはじまりました。UTCPもいよいよグローバルCOE時代の第Ⅱ期とも言うべき新しい時代に、事業推進担当者も事務局スタッフも新しいメンバーを加えた新陣容でスタート。どうぞよろしくお願いもうしあげます。

すでに何度も言っていることですが、このグローバル第Ⅱ期は、1)ポストCOEの組織への展望を開くこと、2)グローバルCOE計画の仕上げ、3)新しい研究活動の萌芽を試すことを目標にしたいと思います。独自の活動予算を持ち、僅少の俸給とは言え、若手研究員を雇用できるグローバルCOEのような組織は、人文科学の新しいあり方を模索する「実験」の場でもあります。21世紀COEの時代から8年間この組織を運営してきて、ここ2年あまり、わたしは、このような形態においてしか、人文科学の未来はない、という確信をもつことができるようになりました。つまり、既存の大学院専攻のあり方だけではもはや国際対応ができないこと、そして国際対応ができなければ、日々、きわめて強い密度での国際研究交流が進んでいく世界のなかで完全に取り残されるだろう、ということです。

人文科学だけではなく、日本の社会のあらゆるところで、一見はそうは見えないが、ある種、自己に閉じた「鎖国的マインド」がはびこっていると思います。国際化と口では言いながら、みずからの「身体」を少しも変容させない横着で尊大で、しかもほんとうは自信がない「張子」状のマインド。日本語という壁に守られたガラパゴス的精神・・・・それが硬直した縦割り制度にしがみついています。官僚組織も大企業も、そのようなマインドが組織全体に崩壊をもたらす事例が最近では多発していますが、大学もけっしてそれらを笑っている場合ではないのではないでしょうか。東京大学のような大学が、研究教育の生き生きとしたほんとうの意味での「国際化」のために、どんな具体的なポリティックスを掲げて、どんな組織を生み出すのか、ここ1、2年が最後のチャンスだとわたしは考えています。

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