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時の彩り(つれづれ、草) 098

2010.03.05 小林康夫

 『歴史のディコンストラクション』

 すでにブログで紹介されていますが、このサイトの「哲学の樹」に掲出していた『未来』誌連載のエッセイをまとめ、さらにいくつかの論考を加えてUTCP叢書として刊行しました。

 基本的なモチーフは、ここ2、3年わたしなりの仕方で〈歴史〉について考えてみようとしてきた試み。結局は、お招きしたポストーンさん、ジュランヴィルさん、スティミリさんらへの応答もあり、佛教セミナーでの発言、いくつかの海外講演の一部、国際コロキアムでの発言を書き直したものなどUTCPの活動を織り込んだテクスト群ということになりました。

 前著の『知のオデュッセイア』(東京大学出版会)もそうですが、わたしの思考はどうも学問的な体系性を備えることができず、あっちにふらふらこっちにふらふらの漂流性のエクリチュール、どこかアクティヴィスト風の文章がいちばん性にあっているようです。まあ、ちょうど「あとがき」を書いていたのが、還暦の誕生日というわけで、確かにこういうスタイルに集約されるような生き方をしてきたな、と本人は勝手に納得し(=あきらめ)ています。どこかはじめからマイナーですよね!?
 
 しかし同時に、このスタイルには「完成」はありません。カオスのままどこまでも漂流を続行。それがわたしの「阿羅漢(!)」の誓いかもしれません。

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